美術館
□第2話
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ごぼごぼと水に肺の中の空気が溶けていく音がする。
だけど、水中特有の圧迫感や息苦しさは感じられない。
なのにこの水は、自分から酸素をことごとく奪っていく。
『(一体どこまで続くんだろう…)』
まさかこのまま死んでしまうのだろうか。
そんな嫌な想像が脳内を侵食し始めた頃、足下に仄明るいものが見えた。
何だろうと考える間もなく、体はどんどん光の方へと吸い込まれるように落ちていく。
『…、ごぼ…っ』
あともう少しで光に届くというところで、先程まで何ともなかったはずの息が突然苦しくなった。
苦しくて、酸素を求め開いた口からは空気が奪われ溶けていき、代わりに水が流れ込んでくる。
そして光に包まれると同時に、そのままゆっくりと意識を手放した。
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