Sketchbook.
□どんな薬よりも
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「38.2℃…完璧に風邪ね。」
『うー…頭、痛い…』
今日は休日。
久々にゆっくり寝ていようと思ったのに、体の軋みに加えて激しい頭痛と吐き気に悪寒で最悪な目覚めを迎えた。
そして起き上がれないほどの体の怠さ。
このままではまずいとも思ったが、どうにも動けないため病院にも行けず、飲み物も薬さえも取りに出られないため、これはいよいよまずいと頼ったのが恋人でもあるギャリーだった。
思った通り、彼に連絡をいれるとすぐに必要なものを揃えて来てくれて、今現在 看病をしてもらっている。
『風邪引くだけならまだしも、熱とかありえない…』
「日頃の無理が祟ったのよ。今日は一日大人しく寝てることね。」
人間とは熱が出ると心細くなる生き物なのか、安静にしてなさいと布団をかけ直しては立ち上がる彼の服の裾を掴んで引き留める。
『ギャリー、行っちゃうの…?』
「っ…!!! み、水取りに行くだけよ。それと、お粥も持ってきてあげるわ。そうじゃなきゃ薬飲めないでしょ。」
そう言って服を掴む手をほどくと、部屋を出てリビングへと消えていく彼の背を見送ると、ベッドに仰向けになっては熱い息を吐く。
寝ようにも辛すぎて眠れないため、暇をもて余しているのもアレだからと何かしようかとも思ったが、何をするにも体を動かす度にあちこちの関節が軋んで痛むため思うように動けない。
体も内側から火照っているからか熱がこもり、目の前は涙でぼやけ、暑いはずなのに鳥肌がたつほどに寒い。
なのに全身からは次から次へと汗を放出し続けて、寒いんだか暑いんだか自分でもよくわからなくなり始めた頃、いつの間にか襲い来くる睡魔にのまれていた。
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