短編

□オレはイヤなヤツだ。
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オレはイヤなヤツだ。

オレみたいなヤツはとっととくたばればいいのに。

つくづく思う。









オレはイヤなヤツだ。
作・太太郎k









学校は毎日遅刻する。

宿題はやらない。

テスト期間中はずっと寝てる。

勉強なんてしない。

テスト赤点。

休日はとにかく寝てる。

毎日だらだらしてる。

暇があれば漫画読んだりゲームしたりする。

宿題をするという選択肢は出てこない。

学校帰りは古本屋でずっと漫画読んでる。

家に早く帰らない。

放課後はオレの自由時間。

自転車でどこへでも行く。

家ではしゃべらない。

自分の部屋でこもってる。

家族としゃべりたくない。

どうせ説教されるだけだし。

妹を避けてる。

オレより成績がいいっていう。

説教の一言になってる。

天才なんだってね。

偉いね。

オレとは違うね。

せいぜい自分に酔っとけ。

友達はあんま居ない。

自分の性格の悪さは知ってる。

原因は、オレが全然しゃべらないことにあるのだが。

それに気の合いそうなヤツが居ない。

人付き合いってめんどくさい。

大人になるにつれて周りが汚くなってきて。

吐き気がしそうだ。

楽しくない。

最近ここんとこずっとそうだ。

しんどい。

オレの居場所がない。

疲れる。

癒されるものがない。

もうイヤだ。

逃げたい。

学校なんて行きたくない。

先生の説教がもう頭にこびりついてる。

うるさい。

何度も同じこと言うな。

偉そうに言うな。

くたばれ。

家でもそうだ。

何回同じこと言う。

もう分かってるよ。

言わなくてもいいよ。

オレはイヤなヤツだ。

オレはイヤなヤツだよ。

何一つ誉められる要素なんてない腐ったヤツだよ。

知ってる。

知ってるよ。

黙れよ。

言葉にするなよ。

オレがだんだん小さくなってくみたいで。

吐き気がしそうだ。

止めてくれ。

オレはイヤなヤツだ。

腐ってく。

なら君は何のために息をしているのか。

知らない。

知るかよ。

萎んでく。

沈んでく。

オレがだんだん見えなくなっていく。

オレという存在そのものが。

存在って何だろう。

オレはイヤなヤツだな。

知ってるよ。

オマエには何にもないのか。

一つくらいはあるだろ。

じゃないと生きてる意味がないじゃないか。

意味ね。

ないな。

イヤホンを耳に差し込もう。

大音量で好きな音楽を聴こう。

癒されよう。

こんな現実から逃げよう。

今すぐ逃げよう。

もうこんなとこには居れない。

もともとオマエは居ないだろ。

あそっか。

まあいいや。

深く深く心を閉じよう。

何も感じない。

感じたくない。

逃げたい。

もう嫌だな。

笑えもしないよ。

楽しくない。

今オレという存在は一体何なんだ。

知らない。

オレは神じゃないもの。

くたばれ。

オレという存在なんかもう消えちまえよ。

オマエなんか居ても何の意味もねえよ。

分かってんだったらさっさとしろよ。

もう分かってんだろ。

自分のすべきことが。

溺れてく。

感じる。

冷たい冷たい海底にオレはただただ沈んでいってて。

何だかもう止めにしようか。

馬鹿馬鹿しくなってきた。

馬鹿馬鹿しいな。

オレは何なんだ。

一体何なんだ。

高校は卒業できるのか。

赤点ばっかなのに。

卒業できたと仮定しても就職できるのか。

就職しないとダメなのか。

オレはイヤなヤツなのに。

誰がオレなんてもらってくれる。

誰がオレなんか相手にしてくれる。

誰がオレのことを分かってくれる。

誰が。

誰か。

助けてくれよ。

沈んでく。

しんどくて。

吐き気がする。

楽しくなくて。

自分が分からない。

自分が嫌いで。

こんな自分が大嫌いで。

くたばればいいのになんて。

不孝で無責任なことを言ってるな。

こんなヤツなんて居なくなればいいんだ。

ただ苦しくて。

なら意味なんてないじゃないか。

苦しむためにオレは今息をしてるっていうのか。

何だよそれ。

オレはなんてイヤなヤツなんだ。

オレは正真正銘イヤなヤツだ。

ああもう消えていく。

オレという存在が消えていく。

消えていく。

今からオレは消えるんだ。

今すぐオレは消えるんだ。

自らの手でオレという存在を消すんだ。

もう止めにしよう。

全て。

終わりにしよう。

全て。

この左手に握ったカッターで。

オレは今すぐ消えよう。

オレはイヤなヤツだ。

だから消えよう。






オレはイヤなヤツだ。

オレはイヤなヤツだよ。

だけどこれがオレなんだ。

これがオレそのものなんだよ。

これがオレの全てのオレだ。

消えようだなんて。

消えたいだなんて。

消えたくないだなんて。

何てオレはワガママなヤツなんだ。

やっぱりオレはイヤなヤツだ。

こんなカッターでオレという存在を消そうだなんて。

オレは何てヤツだ。

オレみたいなヤツ。

オレみたいなヤツなんて。

もがいてもがいてもがき続ければいいのに。

逃げるな。

もがけ。

苦しい。

頑張れよ。

しんどい。

消えるな。

つらい。

傷ついて傷ついて傷つけよ。

その方がよっぽどましだ。

その方が何百倍も良いヤツだ。

オレはイヤなヤツだ。

カッターで手首なんか切れるかよ。

オレはイヤなヤツだ。

泣いてやがる。

泣いてやがるよ。

オマエがしようとしたことなのに。

オマエが決めたことなのに。

オレは今泣いてやがるよ。

カッターなんてもう投げ捨てたよ。

オレはイヤなヤツだ。

所詮こんなヤツだ。

これがオレの全てだ。

だけどこれがオレなんだ。

オレの全てなんだ。

オレが生まれた意味。

そんなもの知るかよ。

オレにもいつか楽しい日がくるのだろうか。

オレにもいつかかけがえのない存在の人ができるのだろうか。

いつかオレをかけがえのない存在だと思ってくれる人ができるのだろうか。

こんなオレを愛してくれるだろうか。

こんなオレを認めてくれるだろうか。

もがいてもがいてもがき続けて失敗しても。

こんなオレを誰か笑ってくれるだろうか。

大声で笑って慰めてくれるだろうか。

こんなオレだ。

こんなオレだけど。

この世界でもがくことを許してくれるだろうか。

オレは消えない。

苦しい。

だけど消えない。

つらい。

だけど消えたくないんだ。

変わりたい。

変わっていけるだろうか。

変われたら。

少しづつでも変われたら。

少しづつでいいから変わっていけたなら。

オレは変われるだろうか。

分からない。

だけどやろう。

やってみせよう。

オレはイヤなヤツだ。

オレは自分が嫌いだ。

大嫌いだ。

だけどこの世界でオレは生きよう。

生き続けよう。

変わろう。

変わっていこう。

オレはイヤなヤツだな。

本当に。

つくづく思うよ。








…thank you for reading

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