短編

□温かい君
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温かい君
作・太太郎k




もう冷たくなってしまった君を
この温かい僕の手で包み込む
もう君があの頃の温かい君に戻ることはできなくて
そんな君に僕がしてあげられることなんてなくて
だから僕はただただ君を温めるんだ
あの頃の君に戻ってほしくて
この温かさをくれた君がまた見たくて


君は本当に温かくて
僕は冬が大の大嫌いなんだけど
君が僕と一緒に居てくれたから
僕は寒くなんてなかったんだよ
冬の朝はとくに嫌いで
学校になんか行きたくなかったんだけれど
君が僕と一緒に登校してくれたから
僕はちっとも寒くなんてなかったんだよ


だけどもう冷たくなってしまった君を
やっぱりこの温かい僕の手で包み込む
僕には本当の本当にこれくらいしか思いつかなくて
こうやっていたらまた君に会えるだなんて思っていて
だから僕はやっぱりただただ君を温めるんだ
また君の温かさを感じたくて
僕にくれたこの温かさを君に伝えたくて


命なんて所詮は一つしかないんだ
誰にでも一つはあるんだ
だけど君の温かさは間違いなく誰にもないものなんだ
君にしかない君だけの温かさ
それに僕がどれだけ助けられたことか
僕がどれだけ温められたか
こんな冷たい僕を君はー、


だけどだんだん冷たくなっていった君を
だんだん温かくなっていったこの僕の手で精一杯包み込む
君が自分を犠牲にしてまでくれたこの温かさで
今度は僕が君を温めようか


一日で命が終わってしまう君と
これからも変わりのない平凡な日々が続く僕
そんな君と僕はあまりにも違いすぎて
たったの一日で分かりあえただなんて思ってはいないけど
少なくとも僕はまた君に会いたいと思ってるよ
本当だよ


だから今度は冷たい君を
この温かい僕の手で温めよう




…thank you for reading
とある授業ではっと思いついたもの
君=カイロです(笑)

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