短編

□死んでもいいよ。
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何やらわやわやうるさいなぁ、と思い重たい瞼をゆっくり開けると、

そこには見慣れた人らが立っていた。

ええっと…視界がぼやけてよくは見えないが、たぶん母さんと父さんと兄ちゃんかな…うん。

みんな目辺りが涙でぐしゃぐしゃに濡れていて、とゆうか今もまだだばどばと流れていて…

いや、いい加減泣き止めよ、みんな。

別に死んでないじゃん。オレ。

別に死んだわけじゃないじゃん。オレ。

今目開けたじゃん。オレ。

母さんが、オレが目を開けたことに気付いたようで、何やらわーわーと叫びだした。

てゆうか、気付くの遅いわ。おい。

母さんはオレの胸辺りに顔を埋めてさらにわんわんと泣き出した。

それに続くように、兄ちゃんがオレの手をぎゅっと握ってさらにわんわんと泣き出した。

父さんはオレの頭を撫でてただただ泣き続けた。

今更だけど…やっぱり、これって…マジでオレ死にかけてたっぽいな…うん。

辺りをちらっと見回すと、やっぱりここは病院みたいだし、

やっぱりオレはベッドに寝てるし(家族に囲まれて)、

腕や足には包帯がぐるぐるに巻かれてるし、

何より微妙に体が痛い。

…やっぱり、これって…マジで交通事故にあっちゃったの…?オレ…。

[………。]

んじゃあ、さっきのは…夢…じゃあないのか?

[………。]

何かもう…

どうでもいいな…なんか。

突然、オレの頭の中に、ふと少年のあの偽物みたいな満面の笑みが浮かんだ。

………偽物の笑顔。

やっぱムカつくな。うん。

ゆっくりと目を閉じた。

何か、もう、

ほんとにどうでもいいや。

ほんとに。

もうどうでもいい。

どうでもいいわ。

オレ死んでないし。

オレ、

死んでないし。

オレ、

死んでないし。

あぁあ、

オレ、

死んでないじゃん。

―もう、何だか疲れたから、

ー今日はこのまま寝てしまおう。





…thank you for reading
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