坂田銀時と恋に落ちる?

□共犯
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Drive me nuts 2


Sogo-side



なんだってこんなとこにいるんだ?

沖田総悟は目の前に座っている、以前見かけた事のある彼女の顔をまじまじと見つめた。初めて見た時から何故か気になっていた人と偶然再会するのは嬉しいが、よりによって…

「沖田くんはじめてだったっけ?紹介するわ、梨花。」

万事屋の旦那に紹介された女、やっぱりこの間みかさんと一緒にいた人だよな?

「はじめまして、梨花です。」

いや、初めてじゃねえし。あ、はじめてか。一方的に俺が見てただけだもんな。
…いつも旦那が縛っただのなんだのとぶっちゃけてんのは、このオンナの事だったんだ。
地味にデレデレしやがって…なんかムカつくぜィ…いっちょ困らせてやるか。

「どうも。いつも旦那から噂はきいてますぜィ。縛られ…」

「わわわわわわわわわわわわわわわわ!」

「どうしたんですか?旦那ァ、そんなに慌てちゃって。」

「いやいやいや、沖田くん?ほらァ、飲んで飲んで!」

「いえ、俺ァまだ未成年なんで。」

「…沖田くんは未成年なの?」

俺の顔をじっと見つめたかと思ったら、急に笑い出すとか、旦那の物なのに一瞬いいなと思うのはどうなんだ?

沖田は少し顔を赤くすると、わざとらしく目を逸らした。

「はい、そうです…」

なんか、俺、普通に答えてらァ…


「総悟はこの若さで一番隊隊長なんですよ!真選組随一の使い手なんだよなぁ、トシ!」

「…俺に振らないでくれないか、近藤さん。俺は今すぐ帰りてぇ…旨い酒がまずくなる顔ばっかり揃いも揃って…」

話もそこそこに俺は目の前で仲睦まじい旦那とこの女が気になって、ちらちらと何度も見てしまう。
そういえば、前に旦那とみかさんが話してたっけな、好きな人を縛るには探りを入れつつ…嫌われたくないからとか言ってたけど、SとMは惹かれあうもんだと思うんだよな。

(沖田くんもさァ〜、愛する人ができたらわかると思うよ〜。ただプレイを楽しむだけなら愛はいらないけれど、愛のないプレイほど虚しいものはないんだよ?)

妙に説得力がありすぎて、何も言えなかった…。
目の前にいる二人には、愛があって、その上…

気になる人が万事屋の旦那の女だって事に、なんかイラッとしたのに、その上、愛のあるプレイしてます、とか、マジで許せねぇ…。

オイ…旦那ァ?スカートの中に手ェ入れようとしてんじゃねぇよ?旦那ァ?
見たくねぇけど、いや、見るだろォよ…目の前で…
わかんねぇ…なんかスゲぇイライラするんだよ…、なんだこれ?

現実から目をそらすように、アイマスクをずり下げるとその場にゴロンと横になった。

「オイ、総悟、寝んじゃねぇぞ。こんなとこで寝たら迷惑だろーが!」

「土方さん…寝てませんぜィ?ちょっと目をそらしてるだけでさァ…」

「…なんだよ?」

「…なんでもないでさァ…」

***************

彼女が席を立ってから、随分と時間が経つ。銀時も少し遅れて消えてから帰ってこない。
無意識に二人を探すように総悟も席を立ったが、二人の姿は見えなかった。帰ったのかと思いトイレに向かった。
勢いよくドアを開けると、2つあるうちの個室が1つ埋まっていた。不自然に静まり返るトイレに違和感を覚え、用をたしながら聞き耳を立てた。
扉は締まり、誰かがいるはずの個室は無音のまま。二つの気配だけが感じられた。

中にいるんだ…

トイレのドアを大げさに開き、わざと音を立てて出て行くフリをした。気配を消しトイレ内に留まり、耳をすませる。

「もう…ダメ…立ってられないッ…!」

「そんな顔して…ますます銀さんを煽らせてぇのかよ?ン?」

「んンッ…!」

「…悪りィ…やり過ぎだな。…あんまり可愛いからよォ…つい、意地悪したくなるんだよな…」

しばらくすると、くちゅ…くちゅ…と卑猥な音が僅かに聞こえてきた。
声を殺して悶絶している彼女をいとも簡単に想像できた。もうこれ以上聞いていられなくなった総悟は、音を立てずに夢中でお互いの体を貪りあう二人に気づかれることなく、トイレから出て行った。

俺ァ…一体何やってんでィ…

意外と自分自身が打たれ弱い事に気付く。ため息をこぼし、扉の向こう側での行為の相手が自分ならと思うと、下半身がじっとりと熱くなっていく。膨らみかけた一部分を軽く手で擦ると、一気に硬さが増し、それと同時に銀時と彼女への憎悪感も芽生えてきた。
総悟はトイレの外で二人が出てくるのを待ち構えている。

「…あーあ、ウンコ漏れるかと思いましたぜィ。いつまで待たすんですかー?お二人さん。」

銀時が彼女をかばう仕草に更に苛立ちが募った。

「あれ?…総一朗くん?…どーしたのかなァ?」

「総悟です。…メス豚の臭いがぷんぷんしまさァ…。俺にも貸して下さいよ、そこにいるMオンナ。ねぇ、万事屋の旦那ァ」

彼女は自分自身をメス豚と言われたことに愕然としている、それよりもいつもの銀時とは違う顔を覗かせた事に少し驚いた。

「…人の女をメス豚扱いすんじゃねぇよ。…」

「そう熱くならないでくだせィよ、…メス豚は失礼しやした。俺も旦那みたいな従順な飼い犬が欲しいと思っただけでさァ…、それ、貸してもらえませんかねぇ?…気に入ったんで。」

ある程度の覚悟を決めて、総悟は本音を含めてわざと銀時を挑発した。

「は?…何言ってんの?」

「俺もそんな、トイレで悶絶プレイさせてくれる、Mオンナが欲しいなァと思いましてねェ。」

「…何…聞いてたのォ?」

聞いてたよ…!卑猥な音までな…

総悟はニヤリと片方の口角をあげ、黒い笑みを浮かべる。

「…そんなにMオンナが欲しけりゃ、そこら辺にいるだろ!さっさと探して悶絶プレイ?なんだ?拘束プレイでもなんでもヤっちゃえよ。」

銀時は面倒くさそうに、総悟を追い払うと彼女の肩を抱きしめ、席に戻っていった。

今、旦那、そこら辺にいるって言ったよな?…言ったよなァ?…遠慮なく旦那のそのオンナもらってやろーじゃあねェか…

「旦那ァ、ちゃんと首輪つけとかないと飼い犬だってわかりませんぜィ?」

銀時は振り返らずに、目線だけを後方にやると、バカバカしいといった顔をして相手にしなかった。
しかし彼女は振り向き総悟と目があう。総悟は先ほどとは違う優しい笑みを浮かべ、こちらを見ていた。
彼女を奪えるとは思ってはいない。
…でも、このまま引き下がるのは総悟にとってはあまりにも癪だ。

せめてもの、悪あがき。
あがいて、手に入るならば、儲けもん…。
二人の背中が見えなくなるのを確認すると、黙って一人屯所に戻っていった。
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