坂田銀時と恋に落ちる?
□Chocolate Conflict
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バレンタインデーが近くなる。
俺は興味がありません。
そんなそぶりの男程、顔にわかりやすく
待ってます。
と書いてあるものだ。
ここにいる男もそんなバカな1人。
彼女以外から貰ったチョコに浮き足立つ、単純で、甘党の、モテナイ男。
彼女は少し前から慣れないチョコ作りにいそしんでいた。
料理こそはするが、銀時の好物の甘い物に関しては、不得意極まりないのだ。
何度めかの試作でようやく納得できる物が出来るようになったものの、何度も何個も食べているうちにわからなくなっていた。
「頑張って作ったし…明日はこれを持っていこう!」
喜んでくれるかな…自然と笑顔が溢れた。
Chocolate Conflict
「こんにちは。」
私はいつものように万事屋の中へ入っていく。
「あ、梨花さん。いらっしゃーい!」
「梨花ちゃんアルー!私に何か持ってきたアルか?」
神楽ちゃんは私の顔を見るなりワクワクした顔をしながら、私を迎え入れてくれた。やっぱりまだまだ可愛い年頃な女の子だなと改めて思う。
「うん。あるよ?新八くんにもね。」
辺りを見回すとお目当てのあの人は居なかった。キョロキョロとする私に
「銀さんならジャンプ買いに行ってますよ?もう帰って来ると思うんだけどなァ」
居間の方へ向かいながら、早速二人に昨晩作ったチョコを手渡すと、ありがとうと受け取ってくれた。
「きゃっほー!チョコ2個目ゲットだぜー!さっきマヨ侍の女からも貰ったアルよ。」
その時は土方さんの彼女、みかちゃんもくれたんだ、としか思っていなかった。
「銀ちゃんも貰ったアルよ。鼻のした、こーんなにのばして
土方くんには内緒でいいのかなァー?
なんて聞いてたアルよ。あの浮気者!」
新八の顔が凍り付いた。連鎖したかのように私の顔も笑顔のまま凍り付いた。やっぱりまだまだ可愛い年頃、恋愛の空気感が読めない女の子だなと改めて思う。
「か…神楽ちゃん?」
「なんだよー?しんぱちィ!」
新八くんは怖々と私の顔を覗く。
「…梨花さん?」
なんだろう、わからない、この気持ち。胸の奥が締め付けられて、痛い。
「…新八くん、私、忘れ物しちゃったから、一回、家に帰るね。」
「梨花さん?!」
私は足早に廊下をくだり、万事屋を出て行った。今、銀さんには会いたくない。どんな顔をしたらいいのかわからなかった。そして銀さんの顔をみたら、多分、すごく、イライラするはず。
誰が悪い訳でもないけど、何だかもの悲しく、どこにぶつけていいのかわからない怒り。
信用してない訳ではない、でも…でも、銀さんのその歓び方が許せなかった。冗談で盛り上げるためにそう言ったのかも知れないけど…やっぱり嫌だ。
苦手なお菓子作り…銀さんのために頑張ったのに!
何もかもを蹴散らすように街中を歩いていると、だんだん自分の気持ちも落ち着いてきて、ふとイタズラ心に火がついた。