□桜陰-ouin-
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桜陰-ouin-


水面に手を伸ばし
散った花の余情に
ぐらり 浸ってみる


目を閉じたときの
酒の余韻は 
きっとまだ 
抜けきっていない証拠


私が大人に
成りきっていない
唯一の証し


意識は 高揚し
世界は 逆さまに
今にも 幕を閉じそう 


私が台無しにした
貴方の影が脳裏を掠めて 

まだこの感覚に
溺れていたい、と
どうしようもなく
思わせ 恋慕させ 


そして 色褪せた


歯軋りをたてて震えた
不穏な歯車は回りが悪い

がたがた わなわな
唇は震え 青くなっていく

まだ この酔いの中に
微睡んでいたいのに


流れる花弁と共に
浮かんでいたいのに

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