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□少女は夜を片手に
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少女は夜を片手に

突然、
外へ行きたくなった

安物のサンダルを
身につけて
古びた玄関の扉を
開け放って

明るい夜へと
私は飛び出していく

街灯の光の下へ
小さな羽虫が
宙に舞い上がり
星ひとつ無い空には
透明な月が
朗々と浮かんでいる

あ、眩しい
と私は目を瞬かせた

黒い影をつくる木々が
白い光の下で
がさがさ、と揺れている
それでも
明るい夜は静けさの中に

こんな不思議な夜は良い
私は人知れず微笑んだ

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