短書

□くちなしの花
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思考回路が止まる


は―――


幾分自分より体格のいい正樹が上に乗ると身動きが取れない



「っ――やめろ!」


文弥の言葉など聞こえてないかのような正樹



今まで何人の男とやったかなど関係ない

これはただの強姦



当然のごとく恐怖を感じる



「へぇキスマーク」


にたりと正樹が笑みを浮かべながら文弥の服をはぐ



「や、めぇ…」



――――コワイ



―――コワイコワイ


やられるというよりも何をされるか、自分が押さえつけられていることが怖い




「―――っひ」



文弥の体を吟味するように撫でていた手が下半身に移る



「マ、ジで…や、…めぇ」


文弥の静止の声など正樹には届いていない



怖くて怖くて


「は、はぁ…っひ」
のどから思うように声が出ない

いや、呼吸すらままならない



文弥の前が寛げられる



いつの間にか目じりにたまっていた涙が頬を伝う





(あぁ、もうだめだ)



こんな時になって自分が今いる場所を思う



ここで健斗以外と行為をしたことがなかった


そのせいか…
なぜか


なぜか口から出ていた




「…んとぉ」



視界が涙でかすむ


ぼやけた視界の先、興奮した正樹が前を寛げていた


体の感覚がなくなる


何も感じない



文弥はゆっくりと瞼を下した







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