短書

□くちなしの花
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そこからは”いつも通り”だった


キスしてセックスして俺が家を出る



俺が朝を迎え、昼を過ぎて家に行くと健斗はおらず、夕飯もなくなっている


ただ、今日いつもと違ったのは健斗が免許証とアクセサリーを俺の家の風呂場に置きっぱなしになっていたことだった






「てかさ、大森の課題なんだけどさ〜、第三と第四仮定どうやった?見してくんねぇ」

遅い昼食を一人食べていたとき正樹が聞いてきた


あいにく今日は家にPCを置いてきてしまった

ただ明日提出なので今日しかタイミングがない


「家にあるけど来る?」


自然な成り行きだった








「おぉ〜ここが文弥の家なんだ」



別段珍しくもない

ただ学生一人が住むには少し大きい



「文弥って感じだな〜」


そんな感想を漏らす正樹を部屋に置き、飲み物の準備をするためキッチンに向かった



(インスタントでいいか)

普段は豆からだが、正樹はあまりこだわりがなかったと思う

その前にコーヒーが好きかもわからない


とりあえずエスプレッソを用意した






「コーヒーでよかった?」

「あぁ、ありがと」



正樹はすでに自分のPCを立ち上げてた


「ちょっと待ってて」

俺は自分のPCを立ち上げるためベッドサイドにあるPCに向かった



必要なページを印刷して正樹に渡す

正樹は静かに作業を始めた







もともと効率のいい正樹は30分ほどである程度完成させたようだ


一度も口をつけていないコーヒーは冷めてしまったようだ



正樹はずっと同じ体制で酷使した体をほぐすようにストレッチをしている


俺はコーヒーを入れなおすため立ち上がろうと腰を少し浮かした時だった


「なぁ、文弥って男とできんだろ」


正樹が自分の性癖を知っているはずがなかった


別に知っていたとしても困ることではないが驚いて固まった


「おれさぁ興味あんだよね」



ことばが正樹から放たれるのと同時に正樹の体がのしかかってきた





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