古書
□千夜一夜物語
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陽白の国、陰黒の国はもとは一つの国であった
あるとき、王に双子が生まれた
一人は計画性があり真面目で誠実な子
もう一人は物事を考えるのは苦手であったが民の信頼が厚くとても優しい子であった
王はどちらの子に国を任せるか決められず、一つの国を二つに分け、二人を王にした
そして今に至
しかし、王家は二国に分かれたことで王家の血や力、つまり神通力が抑えるため、数代ごとに二国の間で子を産みその子を王としてきた
「つか、なんで俺らが動かなきゃなんないわけ」
そんな愚痴をこぼす一人の男
黒のワイシャツのボタンをいくつか開け、だらしなく着こなしながらソファから起き上がる
「まぁ、武芸者が役立たずってことですね」
にっこりと効果音のつきそうなほどきれいな微笑みを浮かべるもう一人の男
「んー、そうじゃなくて…」
頭をかきむしりながらソファから立ち上がる男
「”そうじゃなくて”?」
そんな男に、またもにっこりとほほ笑みながら返す男
「なんで陽白の国の姫さんがいつの間にか逃亡してんの!!」
身振り手振り、己の持ちうるすべてを駆使して表現する男―――陰黒の国第一皇子クロシュの横で彼が何を言いたいのか理解した世話係兼執事のライトはそっとため息をつき、黒種をなだめるように言う
「逃亡というより、観光をしているようですよ」
少しの間がありクロシュが声を大きくして言う
「観光ぅ?」
まるで意味が分からないとでも言うように、顔をしかめるクロシュ
しかし、こうなることを予想していたライトはあらかじめまとめておいた説明を話し始めた