寸書
□1ページ物語
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具体的に君はよくわからない
世に言う新生活というものが始まってから一年がたとうとしている。
しかしながら、いまだに僕は君―――斉藤俊也―――がよくわからない。
抽象的に言うならばなんで僕に絡むのかわからない。(ん、若干具体的だったか?)
ちなみに、ここでいう具体的とは成分ではないことは公然の事実であるが一応記しておくことにする。
まず、僕と君の性格は違いすぎる。
君は世に言うムードメーカー、僕は根暗、または真面目。僕から言わせてみれば、根暗と真面目では大きな違いが生じるのだが、世の中の人にはひとくくりにされがちである。
よく、自分と正反対な人間のほうが案外よい親友になれるなどと、一般的には言われているが、僕は否を唱えたい。あれは親友ではなく、いいさらし者にされているだけだ。・・・今までは。
そう、君は違った。いくら僕がバカにしたような態度で返そうがニコニコとうまい具合に話を進め、なおかつ、クラスメイトの矛先が僕に向かないようにしているのだ。
偽善者ぶるな、と思っていた1年前の僕はどこかへ行ってしまった。いや、この一年でいやというほど斉藤のいい人っぷりを理解した。
クラスに友達もいない僕を同情しての行動かと思ったら、本人いわく「だって、こうちゃんほんとはツンデレさんなんだもん」(ちなみにこうちゃんとは、不本意だが斉藤が僕につけたあだ名だ。今ではクラスメイトにすらそう呼ばれている)などと返された。
誰がツンデレだ!ツンツンしているかもしれないが、デレタことなど一度もない。
僕に絡む斉藤はよくわからない。
もっとわからないのは、そんな絡んできた斉藤を嬉しく思う僕だった。
【END】
以下おまけ
「ねぇ、ねぇ、こうちゃん。こうちゃんは来年文系?理系?」
「別に関係ないだろ」
(斉藤はどっちだろう?)
「俺はね〜理系なんだ〜。でね、日本史Bの物理〜」
(まったく同じだ…)
「なんかねぇ〜。理系で日本史とる人ってあんまいないから、全員同じクラスなんだって〜」
(同じ・・・)
「それがどうした」
(ふふ、嬉しいくせにwwこうちゃん、嬉しいとき手を組む癖気づいてないんだよねぇ~ww)
「おんなじだといいねw」
(…べ、別に嬉しくなんか・・・)
「僕は別がいい」
(むふふwwツンデレさんwww)