寸書
□1ページ物語
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扉の先
浮気というのは男の性だと誰かが言っていた。
「んっあ、ぁぁん―――あ」
うすうすは感づいていた。もしかしたらって。でも、実際目にして何かが覚めていった。
「ぁう、も・・・・っとぉぉ」
今まさに繋がろうとしている俺の彼氏と女。そして、それを冷静に見る俺。悲しさも苦しさもない。
今来た道を引き返し、玄関へ向かう。
ケツのポケットに入れていたキーケースを取り出す。ごちゃごちゃとついている中、ここのカギを抜く。
――カチャ
玄関横に置かれた鍵は気づかれるだろうか。
扉を開ける。
「…」
この扉を閉めたらすべてが終わる気がした。
扉から出て手を放す
残り15センチ
「…っざけんなよ」
残り5センチ
――ガチャ
ぽたりと足元にしずくが落ちた。
【END】