寸書
□1ページ物語
8ページ/15ページ
君に届かないこの手が酷くもどかしい
わざと選んだ大学は、君とは真逆の方向で君から離れる口実だった。
幸せそうな二人を見るとつらかった。
いい人のふりをして、君の背中を押した。
あれでよかったと言い聞かすわりに、いつまでも君は僕の胸に居座る。
君が幸せならそれでいいと思ってた。
離れてみるとよくわかる。
大切なもの、大切な人。
離れようと思って選んだのに
君に届かないこの手が酷くもどかしい
かなわなくても君の近くに居続けたかった
伸ばした腕の先
君に届かなくなっていた
【END】