寸書
□青天
2ページ/2ページ
たとえばそれが世に言うマイナーな部活だったら、俺の行く高校になくても何の不思議もない
ただそれがサッカーなら…、ない学校を探すほうが難しいだろう
できれば、もう離れたかった
チームメイトの、あの何とも言えない表情を見ていられなかった
運動特待生が決まっていた高校に何の流れか入ってしまった
俺にはもう資格はないのに
普通に試験を受けて、運動特待生ではなく学力特待として
正直部活なんて入る気はなかったし、入りたくもなかった
何がいけなかったのか、この高校を選んでしまったことだろうか
―――中学3年
当時すでに高校の特待生枠を得ていた俺は余裕をかましていた
全国にも名の通った名門サッカーチームの云わばエースストライカーだった俺は受検なんてどこ吹く風の状態だった
事故だった
右足は使い物にならなくなった
泣きたくなるような治療を受け、何とか歩けるまで回復したもののサッカーをするには遠すぎた
特待は白紙になった
あと少し、あと少し待ってほしくて、悔しかった
今思えば初めての挫折だったのかもしれない
努力でどうにかなるものでなかった
泣くほどの痛みにも耐えた
歩けないこと以前、立てないことの悔しさもあった
でも、やっぱり努力ではどうにもならなかった