寸書

□熱中症
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【熱中症】


(暑い暑い暑い暑い暑い暑い、あつーーっい!!)

真夏の太陽は容赦なく降り注ぐ

目の前にはプールに入る友人


(何なんだ!!)


時間は正午を少しばかり回ったばかり



日陰なんてない




(クッソ…なんで今日に限って忘れんだよ!!)


勝手に天気予報を見て今日の体育は中だななんて思った自分が恨めしい


天気予報は、あくまで予報…


見事に晴れてしまった





しかしながらこんな暑さでは思考もおかしくなる



(あーー、真面目に気持ち悪い…)


先ほどから何度か目の前がかすむ

本格的に危なくなってきた



(座るか…)


――――バタっ!!



頬に感じるかすかな痛み


(あれ…、体…、うごかねぇ)


「――――…と!…ことっ!!」


呼ばれているのはわかるのに返事ができない











「びっくりしたんだよ〜」


「こいつさー」



意識が浮上する


目は閉じたままだが、周りのざわめきは耳に入ってくる





(正樹…、と智哉…?か…)



ゆっくりと瞼を上げる


(う…まぶし)


長い間閉じられていた瞳はすぐには大量の光に対応できず、なかなか開けられない


それでもゆっくり、ゆっくり開ける





「あ。」

「ん?…あ、起きた」



椅子に座った二人が両サイドから見下ろすように座っていた


(だから、あんなにうるさかったのか…)


「気分どう?」


乾いていた喉は安易に言葉を発せず、何度か唾を飲み下す




{普通」



あんまりさえない頭で言葉を返す














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