短書

□くちなしの花
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「俺、た…ち、つきあってたの?」


目を丸くする健斗


「だ、…って」



言葉を続ける



「セフレじゃなかったの?」



―――そう、俺と健斗の会話は明らかに矛盾してた


おかしかった



それがさっきの言葉で確信に変わった




「は?!セフレ??」




「だって…付き合うとか、言ってない」


数秒の間


健斗の眉間にしわが寄った



「もしかして、覚えてない?」



「…」



「初めて会ったとき言ったんだけど…」



「?!」


次は俺が驚く番だった


(え、じゃぁ、恋人?)


「何も…覚えて…な、い」



「マジかぁ」


その顔には困ったような笑みがあった


「で、も…、健斗も…、ほかのやつとやってた…」


気になっていたこと

もし、もし、ほんとに付き合っていたのならなんで健斗は女と一緒だったのか



「ん?俺、文弥と付き合ってからやってないけど…」


なんで嘘…


「女の…女の人と一緒にいた…」


ことばが攻撃的になる



視線をさまよわせる健斗


なんだ結局健斗だってやってたんじゃん


「いや、あれは…」


ことばに詰まっている


「いーよ、なんだって。別に俺はセフレだと思ってたし」



あぁ、なんでまた涙が出てくるのだろう


せっかく収まったのに…
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