短書

□くちなしの花
15ページ/16ページ





雨の降り続く日々が少なくなり初夏の日差しが混じり始める




公園にあるくちなしの花はその身を美しく純白に開花させる




その姿は一心に何かを伝えようとする姿で、香りは人々に安らぎを与える




緑に映える白はいずれ黄に変わり懸命に咲いた花は散りゆく



しかし、ここに散らない花が一つ





「健斗…」


それは何気ない日常の中



「なに?」



振り返った健斗にキッチンにいる文弥はただ微笑み返すだけ


(あぁ、幸せだなっ…)



「?」



不思議そうにしていた健斗だが、少し目じりを落として笑う



「文弥」






初夏の日差しがまぶしかった












次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ