短書

□くちなしの花
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―――それは偶然だった


ものであふれかえる都会の中


彼の姿を見つけられたのはある意味奇跡と呼べるかもしれない


健斗と会った2日後、普段なら彼を見ることない日だった


大学に入ってから何となくつるんでいる正樹が文弥に何かだらだらと話しているが、ほとんど耳に入ることはない

適当に相槌を打ちつつも視線は健斗を見たままだった



健斗は女性を連れていた


彼の横に立つべきと思わせるほど女性は凛とした美しさがあった



今までも何度か女性の残り香を感じたことはある

それども、単に自分はセフレといい健斗には何も言わなかった

そして、それは文弥も同じだった

根っからの同性愛者の文弥は健斗と関係を持ったからといって他と関係をなくしたわけではなかった

―――所詮セフレ



それが文弥の出した結論だった

自分に言い聞かせるための







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