短編
□悪ノ娘
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昔々、とある場所に悪逆非道の限りをつくす王国がありました。
その王国は齢19の王女、三成が治めていました。
王女、三成はお金が足りなくなってくれば民達から搾り取り、自分に逆らう者があれば直ちにその者を刑に処しました。
それらの悪逆非道で傲慢な振る舞いにより三成は町の民衆達から陰で『悪ノ娘』と呼ばれていました。
彼女の城には絢爛豪華な調度品が溢れ、家康等の召使がおり、その全ては彼女の物でした。
悪ノ華は可憐に咲き、周りの憐れな雑草達は彼女の養分となり朽ち果てていきました。
そんな暴君王女でもやはり女性、彼女は海の向こうの国の王、元親に惚れていました。
ですが元親は隣の奥州と呼ばれる土地の政宗という者に一目惚れをしていました。
それを知った三成は嫉妬に狂い、大臣を呼び出すと静かに
「奥州全土を焼き払い奥州を滅ぼせ。」
と命令しました。
かくして三成の命令により政宗のみにならずこの件には関係の無いはずの者達も殺され、民家も焼き払われてしまいました。
もちろん人々が苦しんでも王女に届く事はありませんでした。
悪ノ華は可憐に咲きます。本当はとても美しい花なのですが棘が多すぎて誰にも触る事はできませんでした。
ある日悪ノ王女を倒すべくついに人々は立ち上がりました。烏合の衆である彼らを纏めるのは赤き鎧を纏った槍使い、幸村でした。
今まで積もり続けていた怒りは国全体を包み込み、既に疲弊しきっていた兵士達は成す術無く倒されていきました。
とうとう王宮は囲まれ家臣達は皆我先にと逃げてしまい城に一人残された王女はついに捕らえられてしまいました。
「この、無礼者!」
この時彼女が僅かに笑った事に気が付いた人は誰もいませんでした。
王女は捕らえられ、処刑の日取りまで地下牢へ閉じ込められました。"王女"と呼ばれたその人は一人牢屋で何を思ったのでしょうか?
とうとう"王女"の処刑の日取りがやってきました。"王女"は民衆達には目もくれず最後にこう言いました。
「おや、おやつの時間だな。」
"悪ノ娘"は処刑され民衆達には穏やかな暮らしが戻ってきました。
そして後の人達はこう語り継ぎました「彼女は正に悪ノ娘だ」と。