短編
□悪ノ召使
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昔々、とある王国で可愛らしい双子の子供が誕生しました。
ですがその国では双子は凶兆とされ殺される事が普通でした。
ですが運よく二人とも処刑は免れましたが二人の人生は二つに別れてしまいました。
姉、三成は王女となり弟、家康は姿と名前を竹千代と変え召使となりました。
ある日家康は買い出しで隣の土地、奥州へ来ていました。
「まったく…同じ女性の胎(はら)から一緒に生まれてきたのにこの対偶の差はないだろう…」
家康は自らへの対偶へ僅かな不満を漏らしながら買い出しをしていました。
「Hey、これ落としたぜ。」
「ん?…!?///」
ふと声を掛けられ家康が振り返った場所には短い茶髪で右目に眼帯をした少女がハンカチを持って立っていました。
家康は彼女を見た瞬間に心を奪われました。
「…//あ、ありがとう…///」
ですがじっと見詰めるのは失礼だと気付き慌てて礼を言いながらハンカチを受け取りました。
「You are welcomeこれからは気をつけろよ。」
ニッと無邪気に笑うと少女は家康に背を向けました。
「ま、待ってくれ!」
家康は無意識に彼女を引き止めましたがその直後に軽い後悔をしました。
「What?」
「そ、その…名前聞いてもいいか…?///」
少し戸惑いながらも家康は思いきって名前を尋ねました。すると彼女からは…
「人に名前を聞く時は自分から名乗るのが礼儀だろ。」
「そ、そうな!ワシはいえや…じゃなくて竹千代だ!」
「?竹千代かいい名前じゃねぇか。まぁ、名乗られたんだから俺も名乗らねぇとな。俺は政宗だ」
「政宗か…お前もいい名前だな!」
「Thank you竹千代…おっともうこんな時間だ、じゃあな竹千代!」
そう言い残すと彼女…政宗は走り去っていきました。その場に残された家康の心には温かいものが溢れ家康自身は自分が政宗に恋をした事にすぐ気が付きました。