Others
□シンジャss
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「マスルールは全然付き合ったりとかしませんよね。」
「おいおい、俺がいる前で他の男の話か?」
冗談混じりで笑うシンにつられてジャーファルは笑った。
「マスルールに嫉妬ですか?シンらしくもない。」
「お前がいつ誰かに奪われないか毎日ヒヤヒヤしているさ。」
「ご冗談を。」
そんか話をしているとふいに唇を重ねてくる。二度、三度浴びせるようなキス。口の中から少しお酒の臭いがする。
「シン…。」
「もしかしたらマスルールだってお前の伏せられた長いまつ毛とか白い肌とかに欲情しているかもしれない。」
するりと太ももまで流れていく手を止めることもせずシンを抱きしめる。
(私に欲情するのなんてあなたぐらいですよシンドバッド様。)
(追いかけあいっこ)
***
あの人の事はどうしたって大嫌いで。昔っから子供のように見せるあの笑顔とか、誰にでも優しくするところとか。
嫌い、嫌い、大嫌い。
なのに、どうしてあなたは私にそんな壊れてしまわないように優しくふれるの、愛しいものを見るように微笑むの?
(分からないですよ…。シン。)
分からないから今日も私は彼を否定する。気づかないふりをして嫌いの振りをするのです。
(強がりだらけ)
***
シンはずるいお人だ。
寝首をかかれないように信頼しない奴とは寝ないのさ、なんてさっき酒に任せて言ったばかりのくせに今こうして私の横で気持ちよさそうに寝ている。
いっそ、そんな事ができれば気持ちいいのかもしれないけど。
そう思って首に手をかけてみるけど殺す事なんて当たり前だけどできなかった。
「ジャーファル…愛してる。」
「起きていたのですか、シン。」
問いかけても返事は帰ってこない。どうやら寝言だったようだ。
ほら、そうやって。夢の中でも私を鎖で縛り付けているのですね。
「私も愛していますよ、シン。」
だから代わりに私もあなたを縛ろう。あなただけを縛るための鎖で。
(こだまの恋)