花宴 上

□花一華
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イタチは里から十分な距離の地点にたどり着くと、
月世をしずかに降ろした。

「大丈夫か」

力なく座り込んだ月世の顔を覗き込む。
その顔はショックからか呆然としていた。

「これを飲め」

イタチは水筒を差し出すと、月世の口にあてがった。

月世は両手でそれを支えると、ゆっくり飲み込んだ。

「落ち着いたか」

ほう、と息をついた月世を見つめる。

月世は力無くイタチを見上げた。

「私…里から追い出された…んだよね…」

イタチは黙って月世を見守った。

「これじゃ、サスケとの約束…
守れないや」

「約束?」

「うん…絶対イタチを見つけて、
真実を聞いてくるって約束したの」

「…そうか」

月世は悔しさに涙をこぼした。
なんでこうなってしまったのだろう。
何がいけなかったのだろう?
いつ間違ってしまったのだろう…

様々な想いが交錯する。

「どうして…どうして」

月世は肩を震わせながら泣いた。

「ごめん、サスケ…ごめん…」

月世は里から追い出された事よりも、
サスケに会えないことの方がこたえた。
サスケは、これから独りで生きて行かなくてはならない。
それを思うと、不憫でならなかった。
自らも親のいない寂しさを知っているので、尚更その気持ちは募る。

イタチはその肩に腕を回した。
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