花宴 上

□紫八染
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イタチはゆっくりと体を離すと、
月世の頬の涙の筋を指で拭った。

「大丈夫か、月世」

月世はおずおずと笑ってみせた。

「うん、大丈夫」

月世は真実を胸に生きていく決意を固める。
両親やうちは一族、そしてイタチが守ってくれたこの命を生き尽くそうと思った。

そして、いつかサスケにイタチの愛が届きますように…




「…じゃあ…行くか」

そう言うと、イタチは森に向かって歩き出す。

「え、どこに…?」

月世は慌ててイタチの後を追った。

「とりあえず、鬼鮫と合流する」

「鬼鮫…?」

「ああ。暁のメンバーで、仲間のやつだ」

「暁?」

そういえば、そのマントと関係があるのだろうか。
そんなことを考えていると、
イタチが暁について説明する。

「はぁ〜、なるほど。
それで、私も入れるかな?」

木ノ葉の忍でなくなった月世としては、
身の振り方を考える必要があった。
その上で、暁は最適のように思われた。
イタチも所属しているし、信頼もできるだろう。


「お前、S級犯罪者になるつもりか?
わざわざ犯罪者になることもないだろう」

イタチは納得いかない様子だ。

「まあそれはそうだけど…
これから生きていくためには、何かに所属しないと。
もう正規のルートで報酬は得られないだろうし、ね?」

「まあお前の言うことは最もだが…」

イタチは思案顔だ。
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