花宴 上

□夏水仙
1ページ/7ページ

イタチ一行は歓楽街に到着した。
ごみごみとした胡散臭い街だ。

「いかにも…という感じですかねぇ…」

「そうだね、まったく…
たしかナルト君はサスケと同い年でしょ?
そんな子をこんな街に泊めるなんて、よくないよ」

月世は憤慨していた。

「…足取りはだいたい掴めてる。
あとは女を用意するだけだな」

イタチは冷静に言った。 

「そうだね、じゃあ女の確保は私がやるよ」

「イタチさんがやった方が早いんじゃないですか?」 

月世は鬼鮫をちらっと横目で見た。

「大丈夫!時間はかけないから!
ちょっと路地裏で待ってて」

そう言うと、月世は一般人に変化して街に消えていった。

「…珍しいですね、月世が頑固なのは」

「ふん…そうだな」

イタチはわかっていた。
月世はイタチが女を誘うのが嫌だったのだろう。


(イタチは自分が容姿端麗なことわかってない節があるし…
もし惚れられでもしたら…)

月世は歩きながらそんなことを考えていた。
だが自分の幼稚な思考に嫌気がさしてやめにした。

「よし!さっさと見つけよっと…
ん、あの人なんか美人でいいかも?」

月世は黒髪で、体のラインが綺麗な女性に近付いた。





「おまたせ」

待ち合わせの路地裏に、月世は女を担いで現れた。

「本当に早かったですねぇ…
じゃあ、イタチさん」

「ああ」

月世はどさりと女を地面に横たえる。

「ごめんね…」

月世は少し申し訳なさそうな表情を浮かべて謝った。

「…済んだぞ。自来也さんを誘惑するよう仕込んだ」

「了解」

月世は自来也が泊まるという宿に、女を放した。




女は催眠眼の効果で、首尾良く自来也の誘惑に成功したようだ。


「…うまくいった…」

物陰から様子を窺っていた月世は、イタチと鬼鮫に合図した。
月世も合流してナルトの部屋に向かう。


部屋に到着すると、イタチが部屋をノックした。


コン、コン……


「ハイハイ!」

中から少年の面倒くさそうな返事が聞こえる。

「ビンゴですねぇ…」

鬼鮫がにやりと笑った。
月世も頷く。


扉が開くと、金髪の少年…
うずまきナルトが、驚いた表情でイタチを見上げていた。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ