花宴 上

□野紺菊
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捜索前日になり、月世はサスケに会いに行くことにした。
近頃のサスケは、月世が尋ねに行っても以前のように喜ばない。
一人になってしまった彼に一緒に住むことも提案したが、
はっきりと拒否されてしまった。
イタチは、サスケに復讐という深すぎる傷をつけてしまった。
そのせいだろう、目つきは強くなり笑わない、周りのものを寄せ付けないような少年になっていた。


サスケのことだから、きっと修行しているだろう。
そう思って森に行くと、果たして彼はいた。


「サスケ。精が出るね」


差し入れのおかかおにぎりと水筒を渡すと、
サスケは受け取って近くの岩に腰掛けた。


「どうしたの、月世」


彼はおにぎりの包みを開きながら尋ねる。
月世も近くにこしかけると、サスケの顔をちらりと見た。
最近ぐっと大人っぽくなったサスケ。
いや、大人にならざるを得なかったのか。
月世は己の不甲斐なさをひしひしと感じた。


サスケを、守らなくてはならない。
イタチに真実を確かめなくてはならない・・・
月世は、どうしても何か裏があるような気がしてならなかった。
サスケの話によると、イタチはサスケの望む兄を演じていただけだそうだが、そんなものは嘘に決まっている。
ずっと片思いだったので、イタチのことはよく見てきたつもりだ。
だから、あの事件はどうにも腑に落ちないのだった。
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