花宴 上
□花一華
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「やめて。」
月世は泣きながらも、きっぱりとした口調イタチを拒否した。
「こんなことになったのも…
全部あんたのせいなんだよ!?
サスケは…ひとりになっちゃうし…
私も、もう木ノ葉には帰れないっ…」
月世はぐちゃぐちゃに泣きながら、
感情を吐露する。
イタチはそんな月世を強く抱いた。
なおも月世はイタチの腕の中で抵抗する。
拳で、イタチの胸を叩く。
「イタチ…どうして…なんでっ…」
イタチは月世が落ち着くまで、
黙って彼女を抱いていた。
──────…
泣き疲れた月世は、近くに流れていた川まで歩いていくと、
バシャバシャと顔を洗った。
ひんやりとした水が、熱を持ったまぶたに気持ちよい。
そのまま近くの芝生に座り込む。
イタチもやってきて、月世の隣に座った。
「ごめん。あんなこと言うためにイタチを探してたんじゃないのに…」
月世は力無く微笑んだ。
「…気にしなくていい。」
イタチは懐から布を取り出すと、
月世の顔の水滴を優しく拭った。
イタチの優しさが胸にじんわりと染み込む。
月世は隣のイタチをちらりと見た。
「私、イタチのしたことは…許されないことだと思ってる。
でもね、私はあなたがこんなことする人じゃないって信じてる」
「イタチ、話して…お願い」
イタチは静かに川面を見ている。
月世はイタチが口を開くのを待った。
しばらくの沈黙の後、ようやくイタチが話し出す。
「…どのみち、お前は木ノ葉には戻れぬ身だからな…
よく聞け。これはお前にも関わる話だからな」