花宴 上

□花一華
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そんな月世の様子をちらりと見てから、
イタチは静かに切り出した。


「ああ・・
さっき、うちはが木ノ葉の創立に関わった一族という話があったな」

「うん」

「そのうちはに深く関わり、うちはを支え、共にあった一族がある。
それが十六夜一族・・
つまり、お前の家だ」

「え・・・・?」

月世は両親の話は戦争で死んだとしか聞いていなかった。
そして月世はどうしても、両親が思い出せなかった。
なぜか覚えているのは、
二人の暖かい手と、朝日に包まれた二人のシルエットだけだ。

月世はイタチの話を飲み込みかねていた。

「でも私、そんな話一言も…」

「それは月世の両親が望んだことだからな」

「父さんと母さんが…?」

月世は驚いてイタチを見た。
イタチはその視線を静かに受け止める。

「そうだ。
お前の使う、空気中の成分を操る術…
空遁が、血系限界なのは知っているだろう?」

「うん、知ってる」

イタチはここで言葉を切った。
月世は生唾を飲み込む。

「それが…どうしたの?」

「…おかしいとは思わないか。
空遁使いのお前の一族が、戦争で全滅するなど。
里の中でも指折りの血統なのにも関わらず」

確かに空遁は強力だ。
一番の強みは、酸素を操ること。
大量に集めて火遁や起爆札の威力を跳ね上げたり、
敵周辺の酸素を奪って相手を絶命させることもできる。

月世が暗部に昇進したのも、
この血のおかげだった。


「どういう意味…?」


月世は何か恐ろしい予感がして、
張り詰めたような瞳でイタチを見た。


「十六夜は… 
戦争に乗じて、木ノ葉に滅ぼされたんだ」
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