花宴 上

□紫八染
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「だが暁は定員がある…
今は満員だ」

「じゃあ入れないかー、どうしよ…」

月世はがっくりと肩を落とした。

「…お前、なんのために俺が側にると思ってる?」

「え?」

月世はきょとんとイタチを見た。
可愛らしいその表情を見て、
イタチは呆れたように微笑んでため息をついた。

「もっと俺を頼れ」

「え、でも…
もう十分すぎるぐらい、守ってもらったし」

月世は少し頬を赤らめながら言う。

「自分で、ちゃんと生きていかないと」

きっぱりとした、可憐な笑顔で微笑んだ。

そんな彼女を見て、
イタチも表情を和らげる。

「いい心がけだな。
…正式メンバーは無理だが、
俺の部下としてなら問題ないだろう。
十六夜の血系限界は暁としても戦力だしな」

「そうかな?
良かったあ…」

「まずはリーダーに報告だな」


二人は森を歩いていたが、イタチがふと足を止めた。

「鬼鮫。待たせたな」

すると、藪がガサガサ音を立てる。

「イタチさん、遅いですよ…
どこまで行かれてたんです?
急にいなくなるんですから…」

そう言いながら現れた人物は、
大柄で名前の通り鮫を模したような風貌だ。

「…しかも、どなたです?
額当てからして木ノ葉の忍のようですが」

鬼鮫は月世を見るなりそう言った。
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