花宴 上
□紫苑
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「イタチ!ただいま!」
月世は息を弾ませながら扉を開けた。
「おかえり。…どうした?」
イタチはソファーで新聞を読んでいるところだった。
「できたの!薬が!」
ほら見て、と月世は興奮気味に、小瓶に入った薬を見せる。
「今まで使ってたのより、効果もあるし副作用も押さえてある…
今日から使って?」
イタチは月世の手から小瓶を受け取った。
ふ、とかすかに微笑む。
「ありがとう…使わせてもらう」
こうして年月は経ち────
イタチと月世は、18歳になった。
「サスケも…もう13歳だね」
13歳といえば、イタチが暗部の分隊長になり、
あの悪夢のような命を受けて木ノ葉を抜けた歳だ。
月世にとっても、自身の生き方が決まった重要な年齢だった。
「そうだな…」
イタチはふ、と遠くを見るような目になる。
「そう言えば、そろそろ木ノ葉で中忍試験があるみたいよ。
ゼツが言ってたけど、各国の忍が木ノ葉に集まってるって」
「もうサスケも試験受ける頃じゃない?」
「そうか…もうそんな歳か」
二人は鬼鮫と合流するべく、自宅からアジトに向かって歩いていた。
「そういえば…
最近、大蛇丸がなにか動いてるらしいよ」
「大蛇丸か…何年か前に暁を抜けて以来だな」
「なんか悪さしなければいいけど」
遠くの方に鬼鮫が見えてきた。
「…俺たちが言えたセリフではないな」
「ふふ、それもそうだね。
S級犯罪者のセリフじゃないね」
月世はくすりと笑った。