アクマでキミのモノ!

□1.その男、沖田総司
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ーー桜舞う四月。

私達は晴れて高等部第二学年へと進級した。

幼稚舎、初等部、中等部とこの学園で女子校育ちの私達。
隣接する男子校はあるけれど、正直男子学生に免疫があるとは言い難い。


まぁ私には兄がいるし、幼馴染も同い年の男の子…これでも随分慣れている方。

その私ですら、この春からの学園生活には胸が騒ぐ……喜びとは程遠い形で。

憂鬱のあまり溜め息が零れてしまう……


聖桜花学園高等部は──あろうことか、この春から共学に変更となったのだ。



* * *



PTAからの猛反発が何故か収まってしまったのは、理事長の人柄故だとか。

話し合いの場が設けられた途端、争いが丸く収まり共学が認められてしまったという信じられない話…!
新しい理事長に変わったのはまだ一年前の話で、その近藤理事長という方の為人はよく知らないのだけれど。

とにかく、確かにその頃からどうやら共学になるらしいと噂にはなっていた。


「土方さん」


廊下で担任の先生に呼び止められ、私はすぐにそちらへ振り返った。


「はい、先生」


「第三学年への男子学生転入は認められておりませんが、第二学年へは数名の転入がございます。
第一学年においては三分の一程が男子学生となり…多少は混乱が起こることも避けられないでしょう…」


…多少、で済めばいいけれど。

そのお疲れの見える表情から察するに、先生もそうとご存知なのでしょうね…


「はい、承知しております…」


「現生徒会役員は風紀活動も含め、さらに忙しくなるでしょうが…
我がクラスにも転入生がおります。
大変でしょうが、クラスの様子にも少し目を配って頂けますか…?」


「はい、先生。落ち着いて勉学に励めるよう、皆の様子にも気を配ります」


私が頷くと、先生はほっと息を吐いた。


「ありがとう…!貴女がいれば我がクラスは安泰ですね。
流石、お兄様がいらっしゃるだけあります…男子学生が学園に通うことになっても、落ち着いているようですね。
頼りにしておりますよ、土方さん」


「はい、ありがとうございます」


土方 雅ーー2年A組委員長、そして現生徒会役員、副会長。

先生からもそれなりの信頼を頂いて、期待されれば精一杯応えたいと思うし、これまで勉学も生徒会活動も一生懸命取り組んできた。


そうして我ながら清く正しく過ごしてきた私が、これからどんな学園生活を送っていくことになるのか……

人には度胸のあるタイプだと思われているけれど、実はとても不安…。

だって、男子学生のいる学園生活なんて初めてで…想像もつかないんだもの。


穏やかなこの学園生活が、そう大きく変わることなどないといいけれど……


 
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