あの日見た夢の続き
□一番欲しいもの
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------ある日の放課後。
私は、スコップとジョウロを持って花壇の前にしゃがみこんだ。
ボールが当たったのだろう。せっかく綺麗に咲いていた花が、何本か折られている。
(かわいそうに・・・)
こっちのこは、まだ大丈夫そう。
土を少し多めに盛り、倒れないように支えてやる。
その時、スコップの先に何か動くものが・・・。
「きゃ〜!!」
思わずよろけて尻餅をつく。
「どうしたの、美月先生?」
顔を上げると、いつ来たのか、沖田くんが屈んで私を見下ろしていた。
沖田くんの手に引っ張り上げられ、何とか立ち上がる。
「ありがとう。」
情けないところを見られて、頬が熱くなる。
「・・・花壇の手入れをしてたんだけど・・・ミミズがね・・・出てきて・・・」
恥ずかしさのあまり、語尾が小さくなって・・・。
「・・・ミミズ?もしかして、美月先生、ミミズに驚いて腰抜かしたの?
・・・プ・・プハハハハ・・・・」
沖田くんは体を折り曲げて大笑いしている。
「そ、そんなに笑わなくてもいいじゃない!」
いつまでも笑っている、沖田くんを見ていられず、膨れたまま横を向く。
「でも、ま、そんな美月先生も好きだけどね、僕は。」
やっと笑いを引っ込めた沖田くんが言う。
「・・・昔から、ニョロニョロしたものは苦手なのよ。
・・・はあ〜、何で私は嫌いなものに好かれちゃうんだろう?」
「それって、僕のこと?」
「?!違うよ。沖田くんのこと、嫌いなわけないじゃない。あなたは私の可愛い生徒だもの。」
(・・・可愛い生徒、ね・・・)