終焉

□興味
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「周君不機嫌だったね。どうしてだろ」

ルドルフの宿舎への道を歩きながら氷空が呟いた。この合宿所は各合宿所間が遠く、さらに言えば木々が生い茂っていて通り抜けるのにかなり時間がかかる。テニスコートのある広場はさすがに視界が開けているがほとんど道は山の中とは変わらない。

「さあね、アンタが鈍いからじゃない?」

越前の返しに何のことやらわからないといった表情で氷空が視線を返すと越前はふっと笑みを浮かべる。

「アンタって面白いね。立海や氷帝のやつらがどうしてアンタばっかり見てたのか、分かる気がする」
「そう?別に面白くないと思うけど」
「そういや、何で立海でマネージャーなんてやろうと思ったの?」

越前の問いにうーん、と思い出す様に氷空は頬に手を当てる。

「知り合いがテニス部にしかいなかったから。
氷帝にいたときは跡部に頼まれた、というかまず不二って名字で声掛けられたから」
「不二先輩有名だしね」
「よお越前、立海の子つれてどこ行くんだ?
つーか、俺にも紹介しろっての!」

納得したように越前が呟くと急に目の前に人影が現れた。人当たりの良さそうな彼は桃城武といっただろうか、氷空は彼の顔を見ながらそう思う。

「桃先輩、何言ってんすか。俺は道案内してるだけっすよ」
「へー、そうかそうか。で、不二先輩の従兄弟でしたよね?」

桃城が氷空に問いかけると氷空はこくんと頷き、頭を下げた。

「不二氷空といいます。桃城君、これからしばらくよろしくお願いしますね」
「了解ッス!青学の宿舎にも遊びに来てくださいよ!」
「うん周君がいるし、きっと行くね」

氷空がふっと微笑むと桃城も明るい笑みを浮かべた。だが桃城はすぐにはっと思い出したように目を見開く。

「いっけねー、俺部長に呼ばれてたんだった。
んじゃ、俺はこれで!!」

そう言い残すと桃城は風のように木々の間を駆け抜けて行った。後に残された二人は一瞬呆気にとられたが、顔を見合わせふっと笑みを浮かべた。
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