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□かくれんぼ
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怖い……。

美代子は震える身体を抱きしめながら、息を潜め教卓の中に隠れていた。傍から見ればただの可笑しな行動にしか見えないがこれにはわけがあった。

約30分前……
放課後の教室に呼び出された美代子は自分を呼び出した人物を本を読みながら待っていた。 何の用事だろうか、特に思い当る節もないままにただ待つだけの時間が過ぎていきようやくその人物は現れた。

「やぁ、待たせたかな?」
「いいえ、大丈夫です」

ぱたんと本を閉じてその人物を見上げる。
彼は不二周助、この学校のテニス部の中でも人気のある人物。

「不二くん、私に用ってなんですか?」

特に今まで美代子が不二と仲が良かったわけでもない。自分がなぜ呼び出されたのか、美代子は不二に尋ねた。

「佐野さんに伝えたいことがあってね」

彼はいつものように微笑みを浮かべて美代子を見つめる。美代子はどうしてかこの笑みが苦手だった。仮面のように感情を隠しているかの如く見せるこの笑みがどうにも嫌な予感を感じさせる。

「何ですか?」
「僕、君が好きみたいなんだ」

さらりと事も無さげに不二が美代子にそう告げると美代子は唖然と不二を見つめ返した。

接点のない自分にどうして好意を持ったのだろうか、不二くらいの人間ならば他にももっと良い子がいるのではないかという考えが美代子の頭の中を巡る。

「あの、気持ちは嬉しいけど……本当に?」

恐る恐る、美代子が不二に尋ねると不二はクスクスと口元を抑えて笑う。そしてますます笑みを浮かべると一歩美代子に近付いた。

「当たり前じゃないか、僕がそんな嘘を付くような人間に見えるかい?」
「い、いえ、そういうわけじゃ……。でもあなたが私のどこを好いてくれたのかと思うと疑問で……」

美代子が俯きながらそう答えると不二は優しく美代子の手を取った。

そして愛おしげにそれを見つめる。
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