SS

□crusher
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※キャラ崩壊注意。


今日は遅くなってしまうかもしれない。

教室で日誌を書きながら美代子は困ったように眉間にしわを寄せた。今日は部室の掃除をしたかったのにと、ため息をついてシャーペンをノックする。どうしてか今日は酷く日直の仕事が多かった。困ったことに資料整理などが山積してしまっていていた、先日の日直を恨みたいほどに。

「部活、行きたかったなぁ」

今日はミーティングだけのためきっと間に合わないだろう。一目でいいから片思いしている彼の姿をみたかったな、などとなんてことないことを思いながら日誌を書く手を進める。

窓の外はどんよりとした曇りで教室に光が入らないためか気分まで滅入ってくるようだ。


がらり、唐突に教室の戸が開いた。こんな時間に誰だろうとそちらの方へ視線を向けるとチームメイトの姿がそこにあった。

「忍足君?」
「ああ、美代子ちゃん」

今は部活の時間ではなかっただろうか?疑問に思いながら忍足をみるとゆっくりと彼はこちらへ歩み寄ってきていた。

「どうしたの……?部活は?」
「ああ、もう終わったんや」
「そっか」

ふう、とため息をつくといつの間にか忍足が美代子の目の前に立っていた。ん?と不思議そうに美代子は首を傾げ、忍足を見つめる。

「どうしたの?私に何か用?」
「ああ、まあな。美代子ちゃんに用があってん」
「私に……?んっ!?」

ぐっと顎を掴まれたかと思うと荒々しく唇を重ねられた。美代子は目を一瞬何が起こったか分からず、目を白黒させると忍足の胸を突き飛ばした。

だが、それでも忍足の身体は美代子から離れることは無く、無理やり美代子の唇を割り舌をからめてくる。官能的な水音が教室内で反響する。

「んん……!?……んぁ、は、離して!!」

ドンっと今度こそ忍足の身体を突き飛ばす。いつもとは違う彼の表情に澪は思わず身を固くする。

「悪いなあ美代子ちゃん、でももう我慢できへんわ」
「やっ!!」

無理やり床に組み敷かれた反動で机の上の書類が音を立てて散らばった。忍足は息を荒げながら美代子の首元に顔を埋める。ぞわぞわと背筋に冷たいものが走った。

自然と涙で目がうるんでくる。腕をよじっても動かすことは叶わなくて……。だからだろうか、容赦なく美代子は足を上へ蹴り上げた。

「はあっ!!」
「!?」

思わず忍足が悶絶する。それはそうだ、美代子の身体に覆いかぶさっていたのだから彼女の蹴りは彼の急所にクリーンヒットしたのだ。美代子はその隙に、忍足を突き飛ばすとその勢いでもう一度忍足の身体を蹴り上げた。

「こんの変態野郎がああああっ!!」

今まで感じたことのない怒りが美代子の中でふつふつと湧きあがる。汚いものを見る目で忍足を見下ろした美代子はフンと鼻を鳴らした。

「全く、チームメイトを襲うなんて変態の極みね」

ごしごしと袖で唇を拭うと忍足の身体をぐりぐりと踏みつけて言葉を吐き捨てる。普段の物腰柔らかい姿からは想像もつかないような彼女の姿だった。

「今後、絶対私に話しかけないで。あと、ここ片しておいてよね」

そのまま美代子はかばんを持ち上げると言葉の出ない忍足を残して教室を後にした。

こちらとら日吉君に近付きたくて日吉君自身に護身術ならってんだ、なめんじゃねえよ。そんなことを内心思いながら。



あとがき。
一回やってみたかったんです。全国の忍足ファンのみなさんごめんなさい。
これから「crusher」のタイトルがついた私の小説はフラグクラッシャー的な意味でとらえて頂けると嬉しい限りです。
 

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