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□俺には関係ない話
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俺は柳先輩が好きだ。

あ、でも柳って言葉で括っちまうと俺がホモみてえかも。でも別にだからといって柳先輩が嫌いってわけじゃねえし、むしろ他の先輩より遙かに手間暇かけて俺の練習相手をしてくれるから好きだったりもする。とにかく、俺ん中では結構好感度高かったりする。ただ……

「赤也、聞いているのか」

あ、やべ。聞いてなかった。俺は慌てて柳先輩を見上げる。マジで副部長と部長がいなくてよかった。たぶん居たら俺、今無事じゃねえ。

「全く……お前は本当にテニスとゲーム以外では集中力に欠けるな。まだ説教が始まってから25分47秒8しか経っていないだろう」

柳先輩は基本優しいけどたまにすげえ嫌なときがある。こういう説教のときと、ちゃんと目え開けてこっち睨んでくるときだ。

柳先輩の説教は涼しい顔してネチネチ俺の傷を抉ってくる。んで、長い。そりゃ副部長や部長の説教に比べりゃマシだろうけどよ。別に鉄拳が飛んでくるわけでも、睨み殺されそうになるわけでもねえし。

目え開けて睨んでくるときは説教の比じゃねえ。めっちゃ怖い、どのくらい怖いかってっとちょっと不機嫌な部長の相手する時くらい怖い。いっつも閉じてる目が開いてるってだけでなんつーか……不気味?

あーあ、にしてもつまんねえ。もう20分も床の上に正座させられてるっつーのに。さっきの注意のせいでまた多分説教が30分延びた。ま、元が何分だったとか知らねえけど。

はあ、早く帰りてえ。俺が視線を柳先輩の足下に落としたときだった。とんとん、と柔らかいノックの音が部室に響いた。ちょっとだけドキっとしちまう。ほとんどの先輩方は柳先輩の説教中に踏み込んでこねえからこの状況でドアを叩くのは女神か魔王かどちらかしかいねえ……!
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