浅き夢
□そういう君が嫌い
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『光君?寝とんの?』
耳許で囁くような声が聞こえる。
透き通ったソプラノの声。
なんや、心地ええ。
それにしても、誰の声やろ……。
俺がよう知っとう人…。
『光君?起きて…?』
ああ、そうや。
この人、部長の彼女や。
そんで……、俺の、好きな人。
『…ふふっ、寝顔可愛いなぁ』
頭を優しく撫でられる。
そうや。
所詮、この人にとって、俺は、ただの後輩なんや。
部長に適わんっちゅうのは、分かっとった。
せやけど、なんでか、俺は。
この人を、好きになった。