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□暗殺者達の恋
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「…なまえ、ごめんってば。許して?」
ソファで背を向け、目を合わせる素振りを見せないなまえに、メローネも不安と焦りで鼓動が早まる。身体中から血の気が引くように、生きた心地がしない程だった。
メローネはなまえに嫌われるのが何より怖かったから。
「…こんなに好きなのは俺だけなのかな?お互い…いつ死ぬかわからない危険と隣り合わせの仕事だからさ、少しでも長く側にいられたら、なんて考えるのは俺だけかな?」
言葉を噛み締めながら、なまえに優しく語りかけると、俯いていたなまえの顔がこちらへ向いた。
その瞬間、ボスッ、とメローネの胸に拳が入った。
「…お互いいつ死ぬかわからないなんて言葉…卑怯だよ。」
メローネにそのままもたれ掛かると、ぐすぐすと泣き出した。やっと口を聞いてくれたなまえに安心して崩れそうになる。溜め息をついて頭を撫でてやると、なまえの優しい香りが漂った。
「なまえ…また泣かせてしまったね。でも、どうしようもなく君が好きだ。一瞬でも離れたくない。」
「…わかってるよ…。メローネがいなくなるかもしれないなんて、考えたくもないんだから…。だから、幸せな時間が怖いの…」
メローネは同じ考えを持ちながらもなまえを抱き締めたり、キスしたり、最後かもしれないという思いで自分の愛情を目一杯注いでやりたかった。
なまえにとっては幸せな気持ちとは裏腹に、その度にマイナスな思考がよぎるのが嫌だったのかもしれない。お互い暗殺者という立場だからだろう。
そんななまえを見て、安心させるように優しく目を見つめるとふっと笑い、額同士を軽くぶつけた。
その綺麗な顔で微笑みかけられると思わず見とれてしまう。
「俺は簡単には死なないよ?なまえに何発も殴られて鍛えられてるからさ。」
「…本当馬鹿なんだから…。」
「…承知してる。」
ちゅ、と唇が触れ合うだけのキスをしてやると、なまえがメローネの首に手を回したまま、頬を紅くして黙り込んだ。
「…もっとして下さいって顔だね?」
「………ん…。して…?」
「ふふ、何て可愛いんだろうなまえは。」
なまえの頬を優しく両手で包み込み、深く奥に入り込む様なキスをすると、ゆっくりソファに押し倒した。
「んん、メロ、…ネ、はっ、」
「ん………?」
「大好き………。」
「っは……ん、もうこのまま食べちゃおうかな?」
大きく目を見開いて驚くなまえの反応が可愛くて、メローネは「ふふ」と小さく笑うと、その小さな体をきつく抱き締めた。
「……………好きにして…いいよ」
「…じゃあ遠慮なく。」
………………
「…メローネ達大丈夫なのか?なまえが出ていって大分経ったが。」
「なに、心配するなイルーゾォ。仲直りの儀式中だろう。」
「…あんだよリーダー、仲直りの儀式って。」
「気になるなら部屋の前で二人の声を聞いてみろ。」
「…あ?………ってオイ!余計な想像させるなよリーダー!!」
ギアッチョはしばらく考えた末、顔を赤くしてぶちギレだした。
「(リーダー…あいつらの事よく知ってんなぁ。)」
窓際で煙草を吹かしながら、背中でその会話を聞いていたプロシュートが頭の中で思ったのだった。
end.
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