assassino&girl2

□Story15
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ななしは若干ご機嫌斜めだった。




それはギアッチョとイルーゾォの前で突然キスをしたリゾットに対してのものだ。確かに見てはなかったものの、人前でキスなんて考えられなかったななしにとっては相当な辱しめに感じたからだ。




「ななしー、夜ご飯いらないのかねー。」



「………いらない。」




部屋の向こうからホルマジオの茶化すような能天気な声が聞こえても、ベッドから起き上がる素振りを見せない。


少々強引な所があるリゾットだが、今回は少し事情が違う。ショックな気持ちの方が大きい。



「しょうがねぇなぁ〜…先食ってるぜ?」



「……はい。」





ホルマジオの足音が廊下の向こうに消えていくのを確認すると、「好きなのに…ばか。」と小さく呟いた。





考え出すとキリがない。本当にリゾットの行動は解読不能だ。「好きだ」と言うことは二人の間でまだ言わない約束だし、行動で愛を示すしかないのはわかっている。しかしななしの中では、愛し合う男女というのは常日頃「好き」なんて言葉を言わなくても、それ以外の言葉で愛を伝える事が出来るものだと思っていた。



リゾットが口数の少ないのもあるし、ななし自信もまだそういう面では未熟で拙い所がある。なんだか行き違っている様な、合点のいかないモヤモヤとした気持ちがちらついていた。



そんな幼い考えだからか、やはり単刀直入に好きだの愛してるだの言われた方が落ち着くのだろう。何を考えているのかわからないリゾットだからこそ。






「(…あぁ…駄目、リゾットは私の事すっごく愛してくれてるってわかってるのに…でも…それでも足りないよ…。)」





苦しくなってベッドに突っ伏していると、考えるのが疲れたのか、いつの間にか深い眠りに就いていた。



















「………何時だろう…。」



気が付くと夜中の1時を回っていた。窓の向こうには群青の空に散りばめられた光る粒が輝いている。



「明日もいい天気なんだろうな…。」




そう呟くと、ガレージの方に低いエンジン音が聞こえた。すぐ下を覗くと、ななしはハッとした。




「…メローネ?」




夜中とはいえ、明るい空の下で光る金色の長い髪は、すぐにメローネだとわかった。




ガレージのすぐ上にあるななしの部屋だから、メローネもすぐに窓から覗くななしに気が付いた。





「…ななし?バイク、うるさかったかい?起こして悪かった。」




「ううん…私が起きた後だよ、バイクの音がしたのは…それよりちょっと待ってて!」





ななしは慌てて外に出ると、目の前のバイクに感動していた。



「かっ……こいいね!おっきい!メローネこんなバイクに乗ってたんだぁ…。」



きらきらと目を輝かせて、黒く光沢を放つバイクを様々な方向から見ていた。




「バイクに興味持つなんてまるで男児みたいだなぁ…。意外とそっちの血があるみたいだね、ななしは。」



「だ、だって近くにこんなかっこいいバイク乗った人いなかったもん!パパも車だったし…。」




ななしが人生で関わってきた男性は、ほぼ父親だけで、異性と付き合ったことなんてなかった為、こういうものに興味を示すのはおかしくはなかった。



「…乗ってみる?」



「………の、乗ってみたい…。」




ななしは少し緊張と期待を露にして、ガレージに置いてあったヘルメットを受けとると、メローネに顎周りをアジャスター調節してもらい、カチャリとバックルを締めてもらった。




「こうしてみるとななしって本当顔ちっさいなァー。見てよこの紐の余り具合。」



ヘルメットの調節された紐が、顎の下に長く伸びていた。





「ん…何か頭が重い。走ってたら飛んで行きそう…。」



ヘルメット自体が大きいせいで、頭の中はかなりスペースに余裕があり、動くたびにグラグラと揺れた。





「んじゃあしっかり掴まってなよ?」



「きゃ………」




メローネに抱き上げられ、後ろに乗せられると、どう考えても地面に足が着かないその高さに怯えてしまう。



「メローネ…よくこんなの乗って怖くないね?」



「今更降りるのはナシだよー?…さてどこ行くかなぁ。」





ハンドルを握って考え込むメローネを、後ろから急かすように「メローネが行こうとしてた所。」と言って身を乗り出すななし。




「……オッケー。あ、脚はしっかり閉じて車体を挟み込むんだ。座席にベルトがあるだろう?それを引っ張る様にして両手で掴むんだ。絶対肘は曲げるなよ?」



「はい……」





しっかりと足を踏みしめ、背筋をピンと張ってベルトを掴んだななし。メローネがハンドルを握り、バイクを発進させたその時。




「………っひゃああぁ!!」





思いっきり後ろから背中に抱きついたななしに驚き、目を大きくした。




「………ははっ。そうなると思ったよ。」



「うぅ…傾いたら落ちそうだよ…。」



「落ちないようにしっかり手と足を使うんだろ?…まぁ俺はこっちの方が嬉しいけどさ。」




気が付くとしっかりメローネに抱きついている自分が恥ずかしくなり、手を離したくなるが離れられない状態のまま、向かい風を浴びた。




「風がびゅんびゅんなるー!すっごく気持ちいい!」



「俺はななしの胸の方が気持ちいいんだがなぁ…。運転に集中出来ないじゃないか。」



「!……メローネのスケベ…!」




ぎゅっと後ろから押し付けられるその弾力に耐えながら、二人を乗せたバイクは街の方まで出てきた。




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