assassino&girl2

□Story16
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朦朧としていた意識の中で、ななしは状況から見てどこかの部屋に運ばれてきたのだと分かった。




とっさに"酔った自分をメローネが介抱してくれた"と思ったのだが、それはあまりに幼気で純粋すぎる考えだった。




「ごめんなさい…私、今何でリゾットの名前…それより…ありがとう、メローネ。」



「……ねぇ、リーダーとどういう関係?」




話を反らしたななしは、すぐさま話を掘り返したメローネの笑顔に心なしか不安を感じ、それが勘違いであって欲しいと思わずにはいられなかった。



それに、"どういう関係"なんて聞かれると、頭を悩ますものがあった。




−自分とリゾットは何なのだろう。



恋人同士だと確証できるものはない。何故なら、まだお互い"好き"という言葉を直接伝えたことがないからだ。




「リゾットと私……何なんだろう……」




今まで男性経験のなかったななしにとって、残酷な問いであった。本来なら恋人同士になって初めて、キスや性行為に及ぶものだと思っていたからだ。



それを実際にしてしまっている自分達に、疑問を抱いた。勘づいてしまったメローネからの揺さぶりに、頭の中が埋め尽くされる。






「……付き合ってはないけど、それ相応の事はしているのか?」




ななしはメローネの迫るような声に拍車を掛けられ、意を決して有りのままを口にした。



「………私の初めての相手なの…リゾットは…。だけど、私の事は元々任務のために連れてきたつもりだったから…その任務が終わるまで"好き"とは伝えられないって…。」




回らない頭を整理しながら、ななしはメローネに説明した。



しかしメローネから出てきた言葉は、ななしの中に決して浮かぶはずのない物だった。





「……ななしの純粋な気持ちをさァ、利用しているだけじゃないか?」





ドクン、と高鳴る心音。




間髪入れずにメローネが言葉を続けた。




「任務が何だって言うんだ?ボスから命令があってななしを使役している訳でもない。そんな自分なりのルールにとらわれる必要が何処にあるんだい…?」



メローネの言っていることは一理ある。しかし否定したい気持ちでいっぱいだった。詰まるような声を振り絞ってでも。



「リゾットは…すごく真面目な人だから……」



「だからさ、真面目な奴が好きな女に"好き"とも言わずに何度も抱いたりすると思うかい?」




気が付くと震えが止まらなかった。次々と崩されていく思考。言葉はなくとも、愛してくれていると思っていたばかりに、ななしは今までリゾットで埋め尽くされていた心が、ぽっかりと空いてしまった様に感じた。




「要するに…ななしを都合よく抱いていただけじゃないのか…?付き合うなんて責任を背負うのが嫌でさ。」





もはや返事など、返す余裕はなくなっていた。


全てまやかしだったと言うのだろうか。自分よりも遥かに人生経験の豊富であろうメローネが言う台詞に、純粋なななしは洗脳されかけていた。





言葉を失ったななしの目の前では、メローネが顔を背けていた。



「…何で……俺じゃなかったんだよ……。」



メローネの声色に変化を感じ、見上げると今までにない表情をした彼に目を奪われた。




「何で……ななしが初めて好きになって…初めてキスをして…初めて体を許した相手が俺じゃなかったんだよ……。」



ぎゅっと眉間に皺を寄せ、泣き出しそうな顔をしたメローネが苦し気にそう言った。


いつも涼しげな笑みを浮かべて、能天気な性格だと感じていたメローネが見せるその思い詰めた表情に、ななしは釘付けだった。



「俺ならこんな愛し方しない……ななしに毎日…何度も何度も好きって言って安心させてやるのに……。きっとななしの初恋を大事にしてやるのにッ……。」




ななしの横で固くシーツを握りしめて、表情を険しくした。




「メローネ……わ…わたし…それでも……」




震える唇で言葉を紡ごうとした時、その唇が奪われた。






「………んっ……」



リゾットとは違う唇の感覚。自分がリゾット以外の異性に唇を許してしまったことを実感して、思わず体が拒絶してしまう。



「んんっ……!んぅ…!」




手首を掴まれ、ベッドに押さえつけられたまま、メローネの熱い口付けを受ける。


その口付けは、激しいがななしの口内を的確に愛撫していくような、官能的で淫らなものだった。



ななしの事を幾度となく、こうしたいと望んでいたせいか、メローネは唇を深く重ねてねっとりと熱を上げていた。




「っ……ん……ななし…」



メローネは目を細めて顔を蒸気させたななしを見ると、唇を薄く開き、舌先を名残惜しそうに離し、そっと服に手をかけた。




「……っや…メローネ……?」




「俺が怖いの…?大丈夫、優しくするよ…。」




耳元で囁くその声に危険な甘さを感じ、ななしは体の震えを止める術が見つからなかった。



「………!あっ…メローネ…やだこんなのっ…、お願い…」



慣れた手つきでななしの衣服を取り去っていく。すぐに下着姿にされた体はメローネの欲情を高めるだけだった。



「ななし……俺がたっぷり愛してあげる…。」




胸元に熱い舌を這わせながら、ゆっくり下着脱がせてしまうと、ななしは目の前でリゾット以外の者に見せる全裸に激しく羞恥を感じた。



「あぁっ………や…だ…っ」



「………っ…ななし…何て綺麗なんだ…」





−俺みたいな汚れた人間が触れていいはずなんてないのに…




そんな背徳感が、余計にメローネを熱くした。目の前で羞恥に震えながら、これから自分の愛撫を受けようとしているななしが…触れるのを躊躇うぐらい健気で愛しかった。



目眩がするぐらいななしの身体は美しかった。透き通るような真っ白な肌に、形のいい大きめな胸、その頂点にほんのりと色づいた突起物、細くくびれた腰に、まだ一人の男しか受け入れたことのない未熟な秘部。


そのあどけなさの残る顔をして、この身体はあまりにも不釣り合いなぐらい、性的衝動を誘うものだった。


「ひぁうっ!」



そっと胸に指を滑らせると、過剰なまでの反応を見せたななしに、メローネは理性が飛んでしまった。



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