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□甘ったるい休暇
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任務のない昼下がりは、なまえの寝顔を見ることが何よりの至福だ。



すやすやと机に突っ伏している横顔が堪らなくベネ。その白い肌に日だまりが柔らかく降り注いでいて、まるで天使が昼寝しているようだ。





そっとほっぺにキスしてやると、「…なぁに?」と返されてしまった。半分起きていたみたい。



「可愛い、なまえ。キスしただけで勃ちそう。」



「…お馬鹿さん。暇なの?」



「せっかくの休みだぜ?なまえが寝てたらもて余しちゃうだろ。」



「甘えたさんなんだから。」



なまえは目を閉じたままで、もごもごと喋っている。連日の任務で疲れているのだろう。



とは言っても引き下がりたくもない俺は溜め息をつきながら、なまえの肩に手を置いて後ろから擦り寄った。




「なまえー。構ってくれよ。見つめあって抱き合ってキスがしたい。」



そんな理想の休日を語りながら、なまえの耳元にちゅっちゅとキスをする。このなすがままにされているなまえも最高に可愛い。



「ん…しょうがないなぁ…。」





しょうがないなぁ、だって。君は女版ホルマジオか。






「…ベッドで一緒に寝よう?それならいいでしょ?」



「…それは据え膳と受け取ってもいいのかい?」



「ほんっとメローネったらセックス中毒?たまには休ませてよね。」





椅子を引いて、眠い目を擦りながら立ち上がるなまえを見ると、何だかんだで我が儘に付き合ってくれる所が愛しくて思いっきり抱き締めた。






なまえは俺よりも年下で、身体だってこんなに小さいのに、いつも俺の我が儘な欲求に応えてくれる。そんななまえは俺なんかよりずっと大人で、大きな存在に見える。





なまえを抱き上げてそっとベッドに下ろすと、その隣でまじまじと見つめながら、肘をついて寝転んだ。



「そんな見られたら眠れないじゃん。」



「ん?だってこんなにのんびりなまえの側にいられるの、幸せじゃないか。じっくり堪能しなきゃ。」



「寝てる間に変なことしないでよね。」



「じゃあ起きててよ。」





自分でも無理難題を押し付けていると思いつつも、なまえの反応を伺った。



「じゃあ10分だけ寝るの我慢してあげる。その間ならいくら喋りかけてもいいよ。」



「グラッツェ!さすが俺のなまえ。」




向き合うようにして体勢を直したなまえは、やっと目を合わせてくれた。




「…何か平和だね。」



「平和呆けしないでよね。私達暗殺者なんだから。」



「たまにはいいだろ?俺はなまえがいるから任務だって頑張れるんだから。」



「そうかな?私はメローネがいると任務が怖くなる。」



「何で?」




なまえはふっと目を伏せると、表情を曇らせた。





「どちらかが死んで、会えなくなるような運命が待ってる気がして。」




思わず返す言葉が浮かんでこなくて、口をつぐんでしまった。いや、「そんなわけないだろ」とか返すべきなんだろうけどさ。



少なくとも俺も怖いよ。同じこと考えたりもした。だって、日頃人を殺して生活してる奴にこんな幸せが続くと思うか?




どちらかが任務に出向く度にビクビクしてるのは事実。生きて帰れるか、または生きて帰って来てくれるかを常に念頭置いている。






「じゃあ、やっぱり私起きていよう。」



なまえがそう言うと、「いきなりどうしたんだ」と聞き返す。



「時間、もて余しちゃうんでしょ?ならあなたの我が儘に付き合ってあげる。」




そう言うと、なまえは綺麗な瞳に俺を映して、首筋に手を回すと唇を寄せた。





なまえの温かくて柔らかい唇に、心に絡み付く負の鎖がほどかれていくようだった。


結局なまえは、見つめあって抱き合ってキスしたいって欲求を叶えてくれた。ベリッシモ幸せなんですけど。





「メローネ、大好きよ。」



優しく微笑んだなまえは涼しげな目を細めた。



「……なまえッ!!好きだぁぁ!」




体の震えが止まらなくなるほど感動した俺は上体を起こしてなまえの手首を掴み、ベッドに押し付けて荒々しく唇を奪った。


味わい尽くすように舌を入れて、昼間からねっとりと刺激の強いキスをした。



感じているのか、可愛らしい声を漏らしながら身を捩らせている。こうしてみると、普段落ち着いているなまえもやっぱり年下の女の子だなぁって実感する。




「なまえ…可愛い声…。子猫みたい。」



ちゅっ、と唇を離すと、なまえは目を潤ませていた。待て、手首を押さえつけて覆い被さってるこの状況ヤバいよ。いい雰囲気すぎる。なまえ、食べてもいいかい?




「……メローネ、今イヤらしいこと考えてるでしょ。」



「ん、何か縛り付けて無茶苦茶にしたくなった。」



「死にたかったらご自由にどうぞ。」





ああもう、そんな攻撃的な所も可愛いなぁ。でもさ、君のお望みでこの運命を終わらせる事が出来るなら本望だよ。



思わずニヤリと笑うと、なまえもクスリと笑って耳元にそっと囁いた。



「夜までお預け。…その代わり焦らした分だけいっぱい責めて?」




その色っぽい声にぞわぞわと欲求が沸き上がる。上手いんだからなまえは。



「いいの?そんなこと言ってさ。失神するまでヤるよ?」


「ん…楽しみにしてる。」



きっと夜まで生き地獄だろうな。こんなに愛しいなまえが俺の腕の中にいるんだからさ。



余裕の笑みを浮かべるなまえをどうやって責めようか考えながら、俺は上機嫌で休暇を過ごすことになった。



end.


⇒あとがき



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