ルパン三世

□ルパン三世@
1ページ/6ページ

薄暗い部屋に唯一輝く紅い光。それが目の様に見え、警備を担当している警備員は思わず身震いした。



「これってなんなんすか?」



紅い光を放つモノの入った円柱のガラスケースを挟んで立つ先輩に話しかける。



「四神っつー世界に四つしかない鉱石で作られた宝石の一つらしい。オレにはこれを守る意味がわからんが」



誰も盗もうとするはずない。二人にはそういう確信があった。なぜならここは世界有数の宝石店の隠し部屋だ。光も届かなければ、警備員すら、ここが隠し部屋という事以外何も知らない。



と、言うよりはなにも知らされていないのだ。警備を任されたときも、目隠しをしてここまで連れてこられた徹底ぶり。



「帰ったら酒でも飲むか…!オレの奢りだ!」



「まじっすか!?やった〜!」



声がおかしい。咄嗟に懐中電灯をつけ、後輩がいる場所を照らす。



「太っ腹な先輩だねぇー。俺にも奢ってくれなーい?」


そこには見慣れた後輩の姿はなく、赤いジャケットににやりと不敵な顔をした男がいた。



「な…なっ!?お…お前はーー」



「ルパン!逃がさんぞ!」


バタンっと勢いよく扉が開き、部屋の明かりが点灯した。警備員は暫く振りの光に目を細めた。



「あらら〜…とっつぁん!ずいぶんと早いご登場だこと」



背後にたくさんの警察官を従えた銭形がルパンと同じような笑みを浮かべていた。



「今日こそは逃がさん!ここは窓もない隔離された部屋だ!どう逃げる?」



「そうさなぁ…五ェ門ちゃーん」



ルパンは耳を押さえ、声を張り上げた。無線か何かで連絡をとっているのだろう、壁に丸い傷が入ったかと思うと円形が内側に倒れた。



「それじゃ、とっつぁん。四神の朱雀はいただいてくぜー?」



銭形はハッとしてヘリコプターに乗り込んだルパンの手元の紅い球体と円形のガラスケースを見た。その中に置かれているはずのものがない。



もう一度ルパンの手元をみる。



「ルパン〜!!」
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ