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□三つ子と私と
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新学期、進級。
またこの季節がやってきてしまった。
友達がいるわけでもないが、新しいクラスというのはなんとも居心地が悪い。
しかも、今日は転校生が来るというではないか。
遥は、微かな仲間意識を持たせてみるが自己紹介をした彼女、高遠エリカは自分とは真逆の性格で。
これは、仲間意識なんて持つだけ無駄だと思った。
『...本屋にでも行こう』
それからの毎日もなんとなく過ぎていき、この日もまた町を散策していた。
休みの日はこれが日課になりつつある自分が、なんだか情けなくなってくる。
しかもため息をつきながら歩いているものだから、余計に悲しくなってきた。
そんな風に歩いていたおかげか、つい人にぶつかってしまった。
少し強い衝撃に体が、後ろめる。
『あ....すみません』
「.....」
確かにぶつかった自分も悪い、と遥は思うが相手の方も返事の一つもしないとは。
なんだか頭にきたが、文句を言う勇気など遥に言う勇気などあるはずもない。
「虎太くん、何か言ったらどうなんですか」
「もとはといえば、虎太がボケっとしてたからだろうが」
かわりに周りにいたらしい男の子達が注意をしてくれた。だが、遥の意識はすでにほかのことに向けられていた。
『え...竜持?凰壮と虎太まで』
目を丸くしながら、目の前のドッペルゲンガーとも言えるほど似ている3人に話しかけると、あちらもまた同様に目を丸くさせていた。