第一部

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今にも拷問しそうになったジャーファルを止めて、クラウドは提案をした。



「拷問は時間がかかるし、こいつを放っておかないか?」



最初に気絶させた男を指差して言った。



+++



数分後、男は起き上がった。



「ててて…あれ、何でオレ寝てんの?
つか、置いてかれてるしー。」



妙に痛む首をさすりながら先に行ったであろう相棒を追いかけ、ある建物に入っていった。



+++



「放っておくと言った時はどういうことかと思ったが、たいしたもんだ。」



その様子を離れたところで見ていたシンドバッドは感心して言った。
クラウドの案に乗り、男の紐を解き寝かせておいた。
もう一人はシャルルカンに王宮へと連行させた。

そして目覚めた男の後をクラウドとシンドバッド、ジャーファルの三人で追いかけた。
たどり着いたのは裏路地にある建物。
奥まったところにありそう簡単には見つからないだろう。
おそらくここが人攫いの潜伏場所。



「さて、どうやって攻めますか?」
「正面突破。」
「待て待て、さすがにそれはないだろう!?」



堂々と言い放ったクラウドに流石にシンドバッドがストップをかけた。



「さっきまでのクラウドはどこに行った!?」
「オレはずっとここにいるが…。」
「そういうことじゃない!え、何でここに来てアホの子になってるんだ?」
「シン、うるさいですよ。」
「オレのせい?オレが悪いの?」



知性のあるクラウドはどこに行った?
そう思わずにはいられないほどクラウドの出した答えは単純だった。
いやない、流石に正面突破はないだろう!?
敵が何人いるのかも、中がどういう造りになっているのかもわからないまま突っ込むのはだめだろう。
必死でシンドバッドはクラウドを説得する。
シンドバッドは知らない、その昔クラウドは無謀にも敵の本部へ正面突破をしたことがあるのだ。



「とりあえず裏口を確認しよう。ジャーファル、行ってくれるか?」
「はい。」
「で、俺たちはここでその帰りを待つ。
焦りは禁物だからな。」
「…アンタと二人でか?」
「そこ、嫌そうな顔をしない。」
「変なことをしないでくださいよ。」
「お前は王様を信じろよ!?今は素面だから!」
「当たり前でしょう。」



何を言っているんだ、と言いたげな目で一瞥してからジャーファルは姿を消した。
二人きりになれば静かな間が流れる。
嫌な雰囲気を隠そうともしないクラウドと自覚があるためなんとも言えないシンドバッド。



「そ…その、昼間は悪かったな。」
「何がだ?」
「いや、ほらいろいろと。」
「別に怒ってない。」
「……。」



話が途切れた。
二人の間を風が吹き抜ける。



「部屋は二つ、裏口に近いほうに監禁されているようです。
そこの見張りは三人ほどですが、もうひとつの部屋にどれくらいいるのかは不明です。
一人が正面から入って、二人が裏口で被害者の保護を。」
「じゃあ、オレが正面から行く。」
「どうしても正面から行きたいのか。」



だが、それが最適だろうと三人はそれぞれは位置に着いた。
作戦はいたって簡単。
クラウドが正面から入り注意を向け、シンドバッドたちが裏口から被害者を解放する。
できるだけ派手に。配置に着く前にシンドバッドに言われた言葉だ。
その言葉通り、クラウドは扉を蹴り開けた。



「!?なんだ!」
「てめぇ、何者だ!?」



中にはおよそ十人。
それぞれ小型ナイフなどを手に取り警戒する。
先手必勝とばかりに襲い掛かる男を受け流し外へと投げ飛ばす。



「(できるだけ派手に…か。)
まとめてかかって来い、相手してやる。」



クラウドは挑発するように手を出す。
目に見えて怒りを露にする男たちは襲い掛かった。





なかなか話が進みません。

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