第一部

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シンドバッドはクラウドに言われ中庭に誰も入れぬよう伝令させた、念のためヤムライハに結界を張らせ、自分はジャーファルとともにクラウドたちの戦いを見ていた。



「…凄い。」



目の前で繰り広げられる戦闘に隣のジャーファルがポツリと零した言葉にシンドバッドはうなづく。
六本の大剣を組み合わせ時に片手、時に両手で多様な攻撃を見せるクラウドもだが、刀身が異様に長い刀を自在に操るセフィロスも凄い。
剣撃が速く目で追うのもやっとだ。
単純な剣での戦いになれば七海の覇王と呼ばれる自分でも敵わないだろう。



「セフィロスはソルジャーと呼ばれる特別兵だったらしい。
それも英雄と言われるほどの強さを誇ったそうだ。」
「そうなんですか?」
「ああ…クラウドは何なのだろうな。」
「どういうことですか?」
「クラウドは一般兵だったと言った。」
「シン?」



だった、と言うことは今は違うのだろう。
あの時クラウドの説明を聞いていたのはシンドバッドだけだった。
ジャーファルにはシンドバッドが何を言っているのかわからないのだろう。首をかしげているのもかかわらず、話を続ける。
話を、というよりはむしろ独白だ。



「一般兵でなくなったのか、軍を辞めたのか。
辞めざるを得なかったのか。
他にも気になることはある。」



クラウドが語ったソルジャー像。
驚異的な攻撃力と並外れた身体能力。
それはクラウドも持っているのではないだろうか。しかしクラウドは自分をソルジャーだとは言わなかった。



「彼は何なのだろうなぁ。」
「王様!」



結界を張っていたヤムライハが焦った様子でシンドバッドに駆け寄る。



「どうした、ヤムライハ。」
「それが…一瞬だったんですが、ジュダルの気配が。」
「何?」



ヤムライハから聞かされた名前にシンドバッドは眉をひそめる。
今、ここでジュダルに来られるのはまずい。
クラウドにしろセフィロスにしろジュダルに目をつけられればアル・サーメンにもその存在が知られてしまう可能性がある。



「くそ、こんなときに…。
ヤムライハ、中庭の結界を不可視にできるか。」
「え…ええ、やってみます。」



ヤムライハに指示を出し、シンドバッドはジュダルを探すべくその場を離れた。



+++



クラウド達が異変に気づいたのはそれからすぐ後だった。



「……っ!」



クラウド達が立つ中庭の周りが白い壁に覆われ始めた。
それに一瞬気を取られた隙にセフィロスの剣がクラウドを襲った。



「弱くなったか?クラウド。」
「はっ…あんたこそ、まだ身体がなじんでないんじゃないか?」
「戯言を。」



強く身体を壁に打ちつけたせいで口に溜まった血を吐き出す。



「(今の衝撃で肋骨をやったか。)」



息をするたびに胸に痛みが走るが致命傷ではない。が、これ以上戦闘を長引かせるのは得策とはいえないだろう。
魔力の消費を気にしている場合ではない。



「シヴァ!援護しろ。
アイツの足を地につけさせるな」



クラウドの呼び声に答えシヴァは姿を現し、言葉通りセフィロスの足元に氷の刃ができる。
セフィロスはバックステップで氷の刃を交わすがシヴァはそれを許さず、氷の刃を作る。
地面が氷で覆われればセフィロスは飛び上がるしかなかった。
クラウドは氷を足掛かりにセフィロスを追撃する。



「これで終わりだ。」



クラウドが持つ技で最高の攻撃力を誇る技『超究武神覇斬』。
合体剣を分解し連続攻撃をする。
最後の一撃を食らわそうとするが、直前に邪魔が入った。



「サルグ・アルサロース!!」



第三者の声とともにクラウドとセフィロスを氷の槍が襲った。
砂埃と冷気により中庭一面に白い煙が立ち上った。
中庭を覆い始めていた白い壁は完成することなく割れてしまっていた。



「シンドバッドが必死で何を隠してるかと思えば…面白そうなことしてるじゃねえか。」



笑みを浮かべ、長い黒髪をなびかせながら降り立ったのはジュダル。



「けほっ…何だ?」
「クラウド!大丈夫か?」
「ああ、なんとか。」



煙が晴れ、クラウドを見つけたシンドバッドが声をかけられた。
左腕に氷の槍が刺さり傷口が凍っているが致命傷ではないため平気だと返した。
セフィロスもまた氷の槍を受けていたが致命傷はなく、戦いの邪魔をしたジュダルを見て言った。



「興ざめだ。」



セフィロスは一言を残し翼を広げて飛び去った。





これからセフィロスはしばらく出てこないかと…。
晴様リクエストの「クラウド成り代わり主の本気の戦闘を始めてみたシンドバッドとジャーファルとヤムライハがその強さに驚いているところ。」を入れてみましたが…すみません、ヤムライハが行方不明←

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