第一部

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ここはどこだ。


目を覚ましたクラウドは体を起こした。
自分が眠っていた布団はもちろん、部屋も見覚えがなかった。
それ以前に、なぜ自分が眠っていたのかさえわからない。

確か臨時休業の札をかけて仕事を休んだ。
マリン、デンゼル、ティファの三人と一緒に教会に行った。
教会は天井に穴が開き、真ん中に泉が湧いているという状態だが神聖な雰囲気をかもし出していて。
しかし、元が無人で埃が溜まっていた上に、ここで戦闘したためかなり荒れていたので皆で掃除をすることになった。
せっかくの休みなのに、と文句は言われたがそれなりに楽しめたのでよしとしよう。



「それから…。」



掃除も終わり、帰るときに風にあおられてマリンのリボンが泉に落ちた。



「オレは、泉の中に入って。」



少しずつ思い出す。
泉の中からマリンにリボンを手渡した。
その後、泉を出ようとして何かを聞いた気がする。
その何かを思い出す前に部屋の外で足音がした。
クラウドはすぐに剣に手を伸ばそうとしてはじめて剣がないことに気づく。
しかし武器になるものを探す時間はなく、扉が開いた。



「子供?」



その先にいたのは幼い少女だった。
少女はクラウドと目が合ったかと思いきや部屋を出て行き、またすぐに女性を連れて戻ってきた。
その少女の母親にしては若く見える女性は起き上がっているクラウドを見て微笑んだ。



「ごめんなさいね、起きたら知らない場所で驚いたでしょう。
私はセリア、ほらあなたも。」
「……。」



セリアは少女を前に出して紹介を促すが少女はすぐにセリアの背中に隠れてしまった。
そして隠れたまま小さな声でユナ、と言った。
その様子に困ったようにセリアは笑った。



「ごめんなさい、この子人見知りで。
あなたの名前を聞いてもいいかしら?」
「オレは、クラウドだ。」
「クラウドね、あなた浜辺に倒れていたのよ?
そのまま放っておけないから私たちの家まで連れてきたの。」
「そうか、すまない。迷惑をかけた。」
「いいのよ、これくらい。
他に何かできるかしら?」
「電話を貸してもらってもいいか?連絡を取りたいんだ。」
「でんわ…?」



きょとんとセリアは首を傾げた。
思わぬ反応にクラウドは一瞬固まった。
あわてて電話の説明をするもむなしく、セリアは知らないと首を横に振るだけだった。
嫌な汗がクラウドの背を流れる。
まさか、と思いつつセリアに問いかける。



「ミッドガル、神羅、ライフストリーム、どれかひとつでも聞いたことはないか?」



どれも知らぬものはいないだろうという単語。
頼む、知っていると言ってくれ。
そんな思いをこめてセリアを見ると、彼女は申し訳なさそうに首を振った。



「ごめんなさい。どれも聞いたことはないわ。」



クラウドは目の前が暗くなるのと同時に思い出した。
あの時教会で何を聞き、何が起こったのか。




―お前の大切なものから、お前を奪ってやろう。




聞いたのはかつての宿敵の声。
その声に呼応するように水がクラウドを捕らえ、泉の奥へと引きずり込んだ。
薄れゆく意識の端で、声の主が妖しく笑っていた。









やっちゃいました。FFVII×マギでクラウド成り代わり。
後悔はない、と思います。

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