第一部

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クラウドが目を覚ましたとき、まだ空は薄暗く日が昇っていなかった。
誰かが部屋に運んでくれたのかクラウドはベッドに寝ていた。
昨夜の酒がまだ抜けきっておらず若干ふらつきながら洗面台へと向かう。

水を流し両手で掬い上げ顔を洗う。
何回か繰り返して顔を上げると鏡に自分の顔が映る。



「…クラウド。」
「っ…!?」



セフィロスの声が聞こえたかと思えば一瞬の間に鏡へと押し付けられる。



「な…誰、だ。」



目だけで後ろを見ればいたのはセフィロスではなく見知らぬ男だった。
しかしその瞳は魔晄色に染まっていた。
男はにやりと笑みを浮かべ、口を開いた。



「ずいぶん、ここに溶け込んでいるようだな。」



出てくる声はセフィロスの声で、クラウドは目を見開く。



「この体か?死にかけていたのを拾ったんだ。
しかしなかなかどうしてうまくはいかないものでな意識しか奪えぬ。
ジェノバ細胞が足らぬのだ。クラウド、お前の身体にはジェノバ細胞が巡っているだろう?」



それをいただこう。と男はクラウドの髪をつかみ、鏡に叩きつける。
派手な音を立てて鏡が割れ、クラウドの額が切れる。
ポタポタと血が洗面台に流れ落ち水が赤く染まった。
それを見て男は満足そうに目を細め、流れる血に舌を這わせる。
舌の感触にクラウドの肌は粟立ち、身を捩じらせ腕を振るう。



「はな…せっ。」



振るった腕は男にあたることはなかったが二人には間ができた。
男は口の端についた血を舐め取り、不敵に笑う。



「もう充分だ。」



男は手ぶらの手を剣を持っているかのように自身の肩まで上げ、振り下ろした。
と同時にクラウドを衝撃が襲う。
クラウドの身体は洗面所の扉へと打ち付けられ、それだけでは止まらず扉もろとも廊下まで弾かれた。



「クラウド!おい、大丈夫か?」




騒ぎを聞きつけてかシンドバッドたちが集まる。
額から血を流すクラウドと洗面所の惨状。そしてそこに男の姿はなくセフィロスが立っていることに驚きを隠せない。



「ふん、まだ体が馴染まぬか。」



手を開いたり握ったりして自分の身体を確かめるセフィロス。
シンドバッドたちは臨戦態勢に入るがクラウドがそれを止めた。



「オレが、相手する。」
「だめだお前は怪我してるだろ!」
「これくらいなんともない。」
「だが…。」
「あれはオレの責任だ、周りの安全確保を頼む。」



シンドバッドの心配もよそにいまだ流れる血を拭い、クラウドは剣を構えた。
短く息を吐いて剣を振り下ろす。
先ほどセフィロスがしてみせた剣による衝撃波、セフィロスは自身の剣を横に薙いで衝撃波を打ち消す。
しかしその間にもクラウドは間合いを詰め切りかかる、剣が交われば力を込めセフィロスを窓の外へと弾き飛ばす。



「中庭に誰も近づけないでくれ。」
「しかしクラウドはどうする。」
「オレは負けない。」



シンドバッドにそう伝え、クラウドはセフィロスの後を追い中庭へと飛び降りた。

前に立つクラウドの目を見て、セフィロスは不快そうに眉をひそめた。
そしてさっきまで自分のいた場所を見る。
そこには回りに指示を飛ばすシンドバッドの姿があった。



「守るものを見つけたか…気に食わんな。あの男、殺してやろうか。」
「…アンタはここで倒す。」
「聞く耳も持たないか、まぁよい。あの時の続きといこうか。」



セフィロスの言葉が終わると同時に二人は剣を交えた。





しばらく更新できずにすみません…。
そろそろ原作に近づけたいのですが…セフィロスとのことを一区切りさせようかとorz

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