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□ホットココア
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宮地先輩と喧嘩した。
「ふざけんなよ!轢くぞ!」
「宮地先輩の馬鹿!」
「あ、おい!!待てよ!」
と、一言吐き捨てて走り出したものの。
なんで馬鹿なんて言っちゃったんだろうなぁ。
寒空の下、体育館裏に一人座ってかじかむ手をさする。
宮地先輩がツンデレなのは分かっているし、もともと口下手というか、暴言が多いのも知ってる。
本当はすごく優しいんだって知ってる。
でも、だからと言って何を言われても言い訳じゃなくて、
「いおりちゃん、すごい可愛いッスよね!」
「はぁ?高尾大丈夫かよ、こいつのどこが可愛いんだっつーの」
…なんて言われたら、いくらなんでも傷つくし、ましてやそれが大好きな彼氏の言葉だと思うと尚更だ。
「宮地先輩最低…!」
「はぁ!?」
それで喧嘩になってしまった。
最低、とか馬鹿、とか、あそこまで言わなくても良かったなぁと今更ながら後悔する。
自分も悪かったなぁ、謝らなくちゃなぁ。
でもまだちょっと傷ついてるしなぁ。
ぐるぐる、一人で考えては白い息を吐き出して。
だんだん体が冷えてきて、寒くなってきた。
でも部室にはなんとなく戻りづらくて。
寒、なんて呟いてまた手をさする。
と、突然頬に熱を感じた。
「あつっ!?」
驚いて振り替えれば。
「宮地先輩…」