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□幸せの魔法
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現在の状況を一言で言うならば最悪。


返却されたテストは予想をはるかに下回る出来栄え。

課題はやる場所を間違えて再提出。


そして部活はミスの連続で先輩やら先生やらから降り注ぐ注意の雨。


悲しくなって見上げた空からは天気予報にはなかった大粒の雨。


ついてない。

今日ほどついていない日が他にあるだろうか、というほどについていない。


あいにく傘も持ち合わせていないので、濡れて帰るしかないかもしれない。


部室に一人残ってぼーっと外を見ていると、今日あった嫌なことが次から次へと思い出され、ついに涙が出た。


皆の前では必死になって堪えていたのに、ついに我慢が効かなくなったのか、ボロボロと涙が止めどなく溢れ出る。


ふと大好きな人の顔が思い浮かんだ。


「赤司くん…」


赤司くんに会いたい。

会ってぎゅーっとしてほしい。

頭を撫でて慰めてほしい。


けれど、迷惑はかけたくない。

バスケ部で主将を勤め、常に忙しい彼に、私の我が儘なんかで重荷を増やしてほしくなかった。


雨はまだ止みそうにない。


壁の時計はもうすぐ7時半になる。

バスケ部も、もうすぐ終わる頃だなぁなんて、ぼんやり考えていた。


最近はお互いの部活が大会前だということで、ほとんど顔も合わせていない。

朝夕に挨拶を交わすだけの日々ももうすぐ1週間になる。


赤司くんはどうしているだろう。

辛いことがあっただろうか。

上手くいかずに今日の私のようになってはいないだろうか。



私に会いたいと思ってくれているだろうか。


雨降りの中、窓ごしに見える体育館にはまだ明かりがついている。


緑間くんたちが自主練をしているのだろう。



時計が半になった。

帰らなくちゃ。
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